アンテラリエ賞

アンテラリエ賞とは

アンテラリエ賞（Prix Interallié）は、フランスで最も権威ある文学賞の一つであり、ゴンクール賞、ルノードー賞、メディシス賞、フェミナ賞と並び称されています。1930年、パリの社交クラブ「セルクル・ド・リュニオン・アンテラリエ」に集うジャーナリストたちによって創設されました。

歴史

アンテラリエ賞の誕生は、1930年12月3日に遡ります。当時、セルクル・ド・リュニオン・アンテラリエのジャーナリスト約30人が昼食を共にしながら、フェミナ賞の発表を待っていました。しかし、審査が長引いたため、彼らは待ちきれず、ちょっとしたいたずらを思いつきます。フェミナ賞の発表直後に、別の受賞者を発表しようと考えたのです。

話し合いの結果、彼らは満場一致でアンドレ・マルローの『王道』を選出しました。当時29歳だったマルローは、すでに『征服者』で小説家としての地位を確立していました。こうして、フェミナ賞の受賞が発表されると同時に、アンテラリエ賞の第1回受賞者が発表されたのです。

賞の変遷と特徴

当初はジャーナリストが発表した小説に贈られる賞でしたが、現在ではその規則は適用されていません。審査委員会は原則として、10人のジャーナリストと前年の受賞者で構成されています。近年では、作家も審査員に加わっていますが、審査員は全て男性で構成されている点が特徴です。

この構成から「50代の白人男性」が選ぶ賞であるという批判も存在します。実際、他の文学賞と比較しても、アンテラリエ賞の女性受賞者の割合は低い傾向にあります。2018年時点での女性受賞者の割合は、メディシス賞22%、ルノードー賞13%、ゴンクール賞10%に対し、アンテラリエ賞は9%となっています。

また、第1回受賞作のマルローの『王道』をはじめ、多くの受賞作品がグラッセ出版社から刊行されていたため、「アンテルグラッセ（グラッセ社内・身内）」と揶揄されることもありました。しかし、近年ではこの傾向は薄れています。

受賞発表と影響力

受賞発表は毎年11月初旬、ゴンクール賞の発表後にパリ8区のレストラン「ラセール」で行われます。ルノードー賞とゴンクール賞は同日、フェミナ賞とメディシス賞は11月第1水曜に発表され、アンテラリエ賞はこれらの文学賞の後に発表されます。

他の権威ある文学賞と同様、賞金は存在しません（ゴンクール賞は10ユーロ）。しかし、受賞作の平均売上部数は9万部とされ、文学界に大きな影響力を持つ賞であると言えるでしょう。

関連項目

ゴンクール賞
フェミナ賞
ルノードー賞
メディシス賞
* アカデミー・フランセーズ賞

アンテラリエ賞は、その誕生の経緯からもわかるように、ジャーナリストたちの遊び心から生まれたユニークな文学賞です。その権威と影響力は、フランス文学界において重要な位置を占めています。

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