アンドリュー・スティーヴンス

アンドリュー・スティーヴンス（Andrew Stevens）は、1955年6月10日にアメリカ合衆国テネシー州メンフィスで生まれた映画人です。俳優としてキャリアをスタートさせた後、監督、映画製作者、脚本家としても活動を展開しました。母は著名な女優であるステラ・スティーヴンス、元妻は女優のケイト・ジャクソンです。

彼の俳優としてのキャリアは1970年代に始まり、特にB級アクション映画を中心に存在感を発揮しました。1978年の映画『ヤング・ソルジャー 米海兵隊員/青春の記録』では、その演技が評価され、ゴールデングローブ賞の候補に選ばれるという栄誉を得ています。同年公開の『フューリー』でも注目を集め、テレビ映画への出演機会が増えたことで、ファン層を拡大しました。

スティーヴンスは、スマートでありながらどこか影を持つ独特のルックスから、ナイーブな一面と屈折した感情を併せ持つ犯罪者や、完璧ではない頼りなさのあるヒーローといった、複雑な内面を持つ役柄にキャスティングされることが多くありました。1980年代初頭には、アクションスターとして名高いチャールズ・ブロンソンと、『デス・ハント』や『殺人鬼』といった作品で共演しています。また、1989年にはカナダで製作された異色の吸血鬼ホラー映画『レッド・ブラッド・ガール』（日本では『セクシー・バンパイア/真紅の濡れた牙』のタイトルで公開）に主演し、印象的な演技を見せました。

1980年代後半から1990年代にかけては、多数のB級映画や、急成長していたビデオ市場向け映画の製作に積極的に関与しました。自身もこれらの作品で主演を務めることが多く、その活躍は日本でも広く知られるようになりました。1990年には映画『ナイト・アイズ/危険な肉体』を皮切りに、プロデューサーとして映画製作の現場に本格的に進出し、多くのビデオ映画を次々と製作しました。

俳優としての活動で特に特筆されるのは、1991年に放送された人気テレビシリーズ『新・刑事コロンボ』の通算第55話にあたるエピソード「マリブビーチ殺人事件」へのゲスト出演です。この回で彼は、現実の自身とも共通するような映画業界の野心家という役柄を演じ、事件の犯人として主人公コロンボ刑事との緊迫感あふれる対決を繰り広げ、視聴者に強い印象を残しました。

1997年に自身が製作・主演を務めた『インモラル女医（ドクター）』以降は、俳優としての出演をカメオなどに限定し、活動の主な軸足を映画製作へと完全に移しました。以来、ハリウッドのメジャースタジオによる大作から、テレビ放送用の映画、独立系のB級作品に至るまで、非常に幅広いジャンルの作品をプロデューサーとして手掛け、数多くの作品を世界に送り出しています。

彼が製作に携わった主な作品には以下のようなものがあります。

『解放区』（2000年）
『隣のヒットマン』（2000年）
『追跡者』（2000年）
『プレッジ』（2001年）
* 『容疑者』（2002年）

アンドリュー・スティーヴンスは、俳優としてカルト的な人気を獲得した後、その多才さを生かしてプロデューサーとして成功を収め、現代の映画界において多作かつ影響力のある一人として活動を続けています。

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