アンドルソヴォ条約

アンドルソヴォ条約：ポーランド・リトアニアとロシアの狭間で生まれた和平

アンドルソヴォ条約は、1667年1月30日に、ポーランド・リトアニア共和国とロシア・ツァーリ国の間で結ばれた条約です。この条約は、1654年から1667年まで続いたロシア・ポーランド戦争に終止符を打つもので、リトアニアのスモレンスク県アンドルソヴォ村で締結されました。

条約の概要

この条約の主な内容は、当時両国間の係争の種であったウクライナのコサック国家の分割でした。ドニプロ川を境界線として、ロシアはキエフを含む左岸ウクライナを獲得しました。しかし、この条約交渉において、コサック国家の代表は両国によって参加を拒否されています。

アンドルソヴォ条約は、東欧における勢力均衡を大きく変化させました。ロシアの勢力拡大を許し、ポーランド・リトアニアの衰退を招いたとされています。

条約の主な内容

条約の条件は以下の通りです。

1. ロシア・ポーランド戦争の停止: 両国間の戦闘を停止します。
2. 条約の有効期間: 条約の有効期間は13年半とし、その間に両国は「永遠平和条約」締結の準備を行います。
3. 領土の返還と譲渡: ポーランド・リトアニアは、ロシアが占領した右岸ウクライナと東ベラルーシを取り戻す一方で、左岸ウクライナとスモレンスク地方をロシアに譲渡します。
4. 代償金の支払い: ロシアは、左岸ウクライナ獲得の代償として、ポーランド・リトアニアに20万ルブルを支払います。
5. ザポロージャ・シーチの共同管理: コサックの拠点であるザポロージャ・シーチは、両国の共同支配下に置かれます。
6. キエフの譲渡: 右岸ウクライナに位置するキエフは、2年間でロシアの支配下に移ります。
7. 対オスマン帝国共同防衛: 両国は、オスマン帝国に対して共同で防衛を行うことで合意します。
8. 自由貿易の承認: 両国間での自由貿易を承認します。

条約の影響

アンドルソヴォ条約は、その後の東欧の歴史に大きな影響を与えました。ウクライナの分割は、その後のウクライナの政治的・文化的発展に深い影を落とし、ロシアの勢力拡大は、ポーランド・リトアニアの衰退を加速させました。また、この条約は、その後の両国間の関係にも長く影響を与え続けることになりました。

参考文献

伊東孝之・井内敏夫・中井和夫（編）『ポーランド・ウクライナ・バルト史』、世界各国史、山川出版社、1998年.
黒川祐次『物語ウクライナの歴史』、中央公論新社、2002年.

外部リンク

([ロシア語]]) [アンドルソヴォ条約 // フラノース (Хронос)　※現代ロシア語訳
(英語) アンドルソヴォ条約 // ウクライナ百科事典

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