アンドロニコス4世パレオロゴス

アンドロニコス4世パレオロゴスは、東ローマ帝国パレオロゴス王朝の皇帝ヨハネス5世の長男として、1348年4月11日に生まれました。彼は幼くして父の後継者に指名され、1356年にはブルガリア皇帝の娘と結婚しました。当初は順調な帝位継承の道を歩んでいましたが、次第に父を排除し、単独で権力を握ろうとする野心を抱くようになります。

1370年、父ヨハネス5世がヴェネツィアで拘束された際、アンドロニコスは摂政として手付金の支払いを求められたにも関わらずこれを無視しました。この行動は、彼が父に対する反逆を企て始めた最初の兆候と見なされています。実際には、単なる手違いであった可能性も指摘されていますが、この頃からアンドロニコスを擁立しようとする有力貴族たちが集まり始めていました。

1373年、アンドロニコスはオスマン帝国の皇子サヴジと密約を結び、両者とも父に対する反乱を起こしました。しかし、この反乱はオスマン帝国の皇帝ムラト1世の帰還によってすぐに鎮圧され、アンドロニコスは投獄されることになります。さらに、父ヨハネス5世は、彼と孫のヨハネス7世を目潰しにしようとしましたが、視力を完全に奪うには至らず、後に回復しました。

投獄されたアンドロニコスでしたが、権力への野心を諦めず、1376年にジェノヴァとムラト1世の支援を得て再び反乱を起こし、今度は成功を収めます。彼はコンスタンティノポリスを占拠し、父とその兄弟たちを投獄して皇帝の座に就きました。しかし、彼の権力は長くは続きませんでした。オスマン帝国への領土割譲という約束が国民の反発を招き、支持を失ったのです。また、テネドス島をめぐるヴェネツィアとジェノヴァの争いも激化し、帝国の情勢はますます悪化しました。

1379年、ヨハネス5世は脱獄に成功し、ヴェネツィアの支援を受けてアンドロニコスを追放しました。アンドロニコスはトラキアに逃れるものの、なおも復権を諦めませんでした。1381年には皇帝称号を認められ、トラキア沿岸の行政権を手にしましたが、父への敵対をやめることはありませんでした。1385年に再度父への反乱を企てますが、失敗し、間もなく死去しました。

アンドロニコス4世の生涯は、父との激しい対立、二度にわたる反乱、そして短い皇帝在位期間に彩られています。彼の行動は、東ローマ帝国の衰退を加速させた要因の一つと見なされており、その背後には、ヴェネツィア、ジェノヴァ、そしてオスマン帝国といった外部勢力の思惑が複雑に絡み合っていました。彼自身の真意は不明確な部分もありますが、結果として、帝国を混乱に陥れる役割を演じたと言えるでしょう。彼の野心は、息子のヨハネス7世にも引き継がれることになります。

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