アンナ・フォン・エスターライヒ (1573-1598)

アンナ・フォン・エスターライヒ

アンナ・フォン・エスターライヒ（またはエスターライヒ＝シュタイアーマルク）は、1573年8月16日に生まれ、1598年2月2日に亡くなった。彼女はポーランド王かつスウェーデン王のジグムント3世ヴァーサの王妃として知られる。ポーランド語では「Anna Austriaczka」をはじめとする様々な呼称があり、スウェーデン語でも「Anna av Österrike」と呼ばれている。

生い立ち

アンナはオーストリア大公カール2世とマリア・アンナ・フォン・バイエルンの娘として、グラーツで誕生した。彼女には神聖ローマ皇帝フェルディナント2世やオーストリア大公レオポルト5世という兄弟がいる。そして、彼女の姉マリア・マッダレーナはトスカーナの大公妃となり、妹たちにはスペイン王妃のマルガレーテやジグムント3世の後妻コンスタンツェがいる。

婚姻と政治的背景

1592年5月31日、アンナはポーランド王ジグムント3世と結婚した。この結婚は、ポーランド・リトアニア共和国の貴族たちによって激しい反対に遭った。彼らはジグムントがハプスブルク家との同盟を結ぶことを危惧していたためである。婚約時、ジグムントはアンナを迎える際にイェジー・ラジウィウ枢機卿をプラハに派遣するも、反ハプスブルク派のヤン・ザモイスキが国境を守って彼女の入国を妨害した。しかし、アンナは不屈の精神で入国を果たし、王妃としてクラクフで戴冠を受けた。さらに2年後、スウェーデンでも王妃としての戴冠が行われた。

人物像と政治的役割

アンナは容姿に恵まれたとは言えないが、彼女とジグムントは非常に仲の良い夫婦であった。アンナはかつての敵国との友好関係を築くために努力し、尊敬を勝ち取った。彼女の在位期間中、ジグムントはポーランドの首都をクラクフからワルシャワに遷都した重要な決断を下した。彼女が自身の家庭から連れてきた侍女、ウルシュラ・マイェリンはその後、ジグムントの愛妾となり、一方でアンナも彼女を信頼のおける相談役として扱った。

家族と後事

アンナには子供がいたが、彼女の子どもたちは運命に翻弄され、多くが夭折した。特に、彼女の初めての子供であるアンナ・マリアは1593年に生まれたが、わずか7歳で夭折。カタジナも数ヶ月で亡くなり、次男のヴワディスワフ4世は生き残り、1648年にポーランド王として在位した。その他の子供は、やはり早逝の運命を辿った。1598年に彼女の最後の子供であるクシシュトフを出産した直後、アンナは命を落とした。

ジグムントはアンナの死後、彼女の妹であるコンスタンツェと再婚し、彼女の死後の生活を続けることとなる。また、アンナは彼女自身の血統を通じてポーランド王家に重要な役割を果たしたことが後の歴史においても評価され続けている。彼女の生涯は、単なる王妃の域を超え、国際的な結びつきを生む重要な一因となった。

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