アンナ・フォン・ザクセン (1903-1976)

アンナ・フォン・ザクセン：波乱の生涯を送った王女

アンナ・フォン・ザクセン（1903年5月4日 - 1976年2月8日）は、ザクセン王国最後の国王、フリードリヒ・アウグスト3世の末娘として生まれました。彼女の生涯は、出生時から複雑な事情を抱え、波乱に満ちたものでした。

生い立ちと幼少期

アンナの母であるルイーゼは、王太子妃でありながら、1902年にドレスデン宮廷を駆け落ちしました。その5か月後、ルイーゼは滞在先のリンダウでアンナを出産します。王太子夫妻はすでに離婚しており、アンナの父親が本当に王太子であるかどうかを巡って検査が行われました。結果、王太子の実子であると判断されます。しかし、ザクセン王はルイーゼに対し、アンナを王宮で養育させることを要求し、ルイーゼはこれを拒否しました。

当時、ルイーゼはフランス語教師で愛人であったアンドレ・ジロンとジュネーブで同棲しており、アンナの実父はジロンであるという説も存在します。その後、ルイーゼは元夫であるフリードリヒ・アウグスト3世と交渉し、アンナを引き渡すことを一時承諾しますが、最終的に翻意します。1907年、ルイーゼが作曲家エンリコ・トセリと再婚したことを機に、アンナは母親と離れ、ドレスデン宮廷に引き取られました。父（とされる）フリードリヒ・アウグスト3世のもとで、5人の兄姉と共に王女として育てられることになります。この時、アンナはすでに4歳半でした。

結婚と亡命

1924年、アンナはハプスブルク家のハンガリー分家であるヨーゼフ・フランツ大公と結婚しました。夫妻は8人の子供をもうけ、戦間期のブダペスト社交界で重要な存在として扱われました。しかし、社交術に長けていた一方で、夫妻には社交界の催しに遅刻するという悪癖があり、不評を買うこともあったようです。

1944年、大公一家はハンガリーを離れ、第二次世界大戦後は西側諸国で亡命生活を送りました。1957年に夫と死別した後、1972年にアメリカ人レジナルド・カザンジャンと再婚しましたが、1976年に亡くなりました。

子女

アンナとヨーゼフ・フランツ大公の間には、以下の8人の子供がいます。

マルギト（1925年 - 1979年）
イロナ（1927年 - 2007年）
アンナ・テレシア（1928年 - 1984年）
ヨーゼフ・アールパード（1933年 - 2017年）
イシュトヴァーン（1934年 - 2011年）
マリア・キンガ（1938年 - ）
ゲーザ（1940年 - ）
ミヒャエル（1942年 - ）

アンナ・フォン・ザクセンの生涯は、王室の権威と激動の時代に翻弄されながらも、自身の道を切り開いた女性の物語として、今も語り継がれています。

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