アンヘラ・ポンセ

アンヘラ・マリア・ポンセ

アンヘラ・マリア・ポンセ・カマーチョは、1991年1月18日にスペイン南部、アンダルシア州のセビリア県ピラスで生まれました。モデルとして活動する彼女は、トランスジェンダー女性として、世界の主要なビューティーコンテストの歴史を塗り替えた人物です。

生い立ちと性の自覚

出生名をアンヘル・マリオといった彼女は、保守的な地域で育ちました。父親はバーを経営し、兄と妹がいました。幼い頃から自身の性に違和感を持ち、親に欲しいものを聞かれた際には迷わずバービー人形を挙げるなど、自身の内なるジェンダーアイデンティティを認識していました。11歳の時に性同一性障害と診断され、思春期にあたる16歳からホルモン療法を開始。そして24歳で性別適合手術を受け、身体と心の性別を一致させました。

幼少期には、様々な背景を持つ子どもたちが学ぶ特別支援学校にも通っています。また、6歳からはスペインの伝統舞踊であるフラメンコを習いました。

学生時代は情報工学を学びましたが、卒業後は体育教師として働きました。

キャリアと活動

教師の職を辞し、モデルとしてのキャリアを本格的に pursuit するため、スペインの首都マドリッドに移り住みました。モデル活動と並行して、トランスジェンダーの子どもたちとその家族を支援する「ダニエラ財団」でボランティア活動を開始します。この財団は、アンヘラが女の子であることを認めない学校当局と闘った彼女の母親によって設立されたものでした。彼女は財団の活動を通じて、学校でトランスジェンダーについて講演を行ったり、本人やその家族からの相談に応じたりするなど、性の多様性への理解促進と当事者の支援に尽力しています。

ビューティーコンテストへの挑戦も精力的に行いました。2015年にはミス・ワールド・カディス大会で優勝し、カディス県代表としてミス・ワールド・スペイン大会に出場しましたが、入賞には至りませんでした。しかし、彼女の挑戦は終わりませんでした。

歴史的なミス・ユニバース出場

2018年6月29日、アンヘラはミス・ユニバース・スペイン大会で優勝を飾り、スペイン代表の座を獲得しました。そして同年12月17日、タイのバンコクで開催された第67回ミス・ユニバース世界大会に出場しました。惜しくも入賞は逃しましたが、トランスジェンダーの女性が各国の代表としてこの国際的な舞台に立つのは、ミス・ユニバースの長い歴史の中で初めてのことでした。この出場は、世界中のメディアで報じられ、トランスジェンダーの人々の尊厳と権利に対する意識を高める上で、極めて重要な出来事となりました。彼女の姿は、多くのトランスジェンダーの人々、特に若い世代にとって希望の象徴となったのです。

アンヘラ・マリア・ポンセは、自身の経験と公の立場を通じて、トランスジェンダーの人々が直面する困難や差別に対する理解を深め、よりインクルーシブな社会の実現を目指す活動を続けています。

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