アンリ・ファルマン

アンリ・ファルマンについて

アンリ・ファルマン（Henri Farman、1874年5月26日 – 1958年7月18日）は、フランスにおける著名な航空パイオニアであり、その業績は航空史に多大な影響を与えました。彼はイギリスの新聞社のパリ特派員の息子としてフランスで生まれ、最初は画家を志していましたが、後に自転車や自動車レースに転向しました。

経歴の始まり

ファルマンの航空に対する興味は、1907年に彼がヴォアザン兄弟から航空機を購入したことに端を発します。この機体を使って、彼は弟のモーリス・ファルマンと共に、パリ郊外のイシー＝レ＝ムリノーで当時の長距離飛行記録を作り出しました。この飛行は771mという距離を記録し、ヨーロッパの航空の新たな地平を切り開くものでした。

1908年5月29日、ファルマンは自身が設計した航空機にヨーロッパで初めて乗客を乗せて飛行させるという記録を打ち立てました。この成功を受けて、彼は弟とともに航空機製造会社を設立し、ファルマン航空機製造として知られるようになりました。さらに、1914年には彼の設計したモデルが第1次世界大戦中に偵察機として使用されることになりました。

商業航空の先駆者

ファルマンの会社が製造した航空機「ゴリアト」は、最初の長距離旅客機として高く評価されました。この機体は1919年2月18日からパリ～ロンドン間の定期路線に供され、民間航空旅客輸送の分野に進出する先駆けとなりました。ファルマンは1930年代までさまざまな航空機を製作し続けましたが、1937年の航空機産業の国営化に伴い、彼は引退することとなりました。

日本との関わり

日本におけるファルマンの影響は特に顕著です。初の航空機による飛行は、1910年に製造されたファルマン機「アンリ・ファルマン号」によるものでした。この飛行は、徳川好敏大尉によって操縦され、代々木練兵場および陸軍所沢飛行場で行われ、これが日本の航空の始まりとされています。

現在、代々木公園にはその記念碑が設けられ、所沢航空記念公園には航空の発祥を称える記念館が存在します。また、所沢では「ファルマン」という名前の洋菓子が作られており、「ファルマン通り」といった名称も多く見られます。

2015年には、彼の孫であるピエール・ファルマンが来日し、アンリ・ファルマン機が保存されている航空自衛隊入間基地の修武台記念館を訪れるなど、彼の業績を継承し続けています。

ファルマンの功績は、航空業界の進展に寄与し、その名は今も航空の歴史に刻まれています。

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