アンリ・ブランヴィル

アンリ・マリー・デュクロダイ・ド・ブランヴィル（Henri Marie Ducrotay de Blainville、1777年12月12日 - 1850年5月1日）は、18世紀から19世紀にかけて活躍したフランスの動物学者、解剖学者であり、比較解剖学の分野に大きな足跡を残しました。

生い立ちと初期のキャリア

ブランヴィルは、セーヌ＝マリティーム県の港町ディエップで生まれました。当初は絵画を学ぶためにパリに移住しましたが、やがて自然科学の魅力に引き込まれ、その道へと進むことを決意します。コレージュ・ド・フランスで教鞭を執っていたジョルジュ・キュヴィエとの出会いは、彼の人生を大きく変える転機となりました。キュヴィエの指導のもと、ブランヴィルは解剖学と動物学の知識を深め、その才能を開花させていきました。

学術的なキャリア

1812年、ブランヴィルはキュヴィエの尽力により、パリ大学自然科学部で解剖学と動物学の職を得るという栄誉に浴します。しかし、皮肉なことに、その後キュヴィエとの関係は疎遠となり、ついには敵対する関係へと発展してしまいます。1825年には科学アカデミーの会員に選出され、その学術的な地位を確立しました。1830年には、進化論の先駆者として知られるジャン＝バティスト・ラマルクの後を継いで、パリ自然史博物館の職を得ます。さらに、キュヴィエの死後、比較解剖学の教授の職を引き継ぎ、その分野における指導的な役割を担いました。

研究業績

ブランヴィルは、動物分類学、比較解剖学、古生物学など、幅広い分野で研究を行い、数多くの重要な貢献をしました。特に、コマッコウなどの新種を報告したことは、彼の業績として特筆されます。また、彼は多くの著書を著しており、その中でも『軟体動物学および貝類学マニュアル』は、軟体動物の研究における重要な文献として高く評価されています。

著書リスト

Prodrome d'une nouvelle distribution du règne animal, 1816
Ostéographie ou description iconographique comparée du squelette et du système dentaire des mammifères récents et fossiles, 1839-1864
Faune française, 1821-1830
Cours de physiologie générale et comparée, professé à la Faculté des sciences de Paris, Vorlesungsnachschriften, hrsg. von Henry Hollard, 1833
『軟体動物学および貝類学マニュアル』:Manuel de malacologie et de conchyliologie, 1825-1827
Manuel d'actinologie ou de zoophytologie, 1834
Histoire des sciences de l'organisation et de leurs progrès, comme base de la philosophie, Vorlesungsnachschriften, hrsg. von T. L. M. Maupied, 1845
Sur les Principes de la zooclassie, ou de la Classification des animaux, 1847

人物

ブランヴィルは、その才能と業績によって、フランスの科学界において重要な地位を占めましたが、ジョルジュ・キュヴィエとの確執など、人間関係においては複雑な側面も持っていました。しかし、彼の研究に対する情熱と、比較解剖学の発展に貢献した功績は、今日でも高く評価されています。

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