アンリ2世・ド・ラ・トレモイユ

アンリ・シャルル・ド・ラ・トレモイユ：激動の時代を生きた貴族

アンリ・シャルル・ド・ラ・トレモイユ（1620年 - 1672年）は、ブルボン朝時代のフランス貴族であり、トゥアール公、ラ・トレモイユ公、タルモン公などの称号を持つ人物でした。フロンドの乱における指導者の一人として、その名を知られています。

生い立ちと宗教的背景

1620年、アンリ・シャルルはトゥアール公アンリ1世とマリー・ド・ラ・トゥール・ドーヴェルニュの長男として誕生しました。両親は共にオラニエ公ウィレム1世の孫という血縁関係にありました。1628年、父や兄弟姉妹と共にカトリックに改宗しますが、母はユグノーの信仰を守り続けました。成人後、母の説得により再びユグノー派に帰依するという複雑な宗教的背景を持っています。

オラニエ公家との関係

1638年、大叔父であるオラニエ公フレデリック・ヘンドリックの軍事遠征に参加した際、オラニエ公の娘ルイーゼ・ヘンリエッテと恋に落ちました。しかし、オラニエ公家は、長女と君主ではないアンリ・シャルルとの結婚を認めませんでした。この恋愛は、彼の人生における一つの転換点となりました。

フロンドの乱での活躍と失脚

1651年、フロンドの乱が勃発すると、アンリ・シャルルはマザラン枢機卿と対立し、コンデ公と連携して反政府勢力として活動しました。1656年にはマザラン側に捕らえられ、アミアンで捕虜生活を送りますが、母親の働きかけにより約1か月で釈放されました。しかし、この事件により彼は立場を失い、親族であるオラニエ公家を頼ってオランダへ亡命することになります。

家督相続と晩年

1668年、父の引退に伴い家督を継承し、トゥアールの所領に戻りました。1672年に死去し、その後は息子が家督を継承しました。

子女

1648年、ヘッセン＝カッセル方伯ヴィルヘルム5世の娘エミーリエと結婚し、5人の子供をもうけました。

シャルロット＝アメリー（1652年 - 1732年）：アントン1世・フォン・アルデンブルク伯爵と結婚
シャルル・ベルジーク・オランド（1655年 - 1709年）：トゥアール公
フレデリック＝ギヨーム（1658年 - 1738年）：タルモン公
アンリエット＝セレスト（1662年生、夭折、双子）
* マリー＝シルヴィー（1662年 - 1692年、双子）

アンリ・シャルル・ド・ラ・トレモイユは、その複雑な生い立ち、フロンドの乱での活躍、そしてオラニエ公家との関係を通じて、17世紀フランスの激動の時代を象徴する人物の一人と言えるでしょう。

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