アンロクの戦い

アンロクの戦い：ベトナム戦争における戦略的勝利

アンロクの戦いは、ベトナム戦争中に繰り広げられた重要な戦闘の一つであり、66日間に及ぶ激戦の末、南ベトナム軍が勝利を収めました。この戦いは、1972年の北ベトナム軍による対サイゴン攻勢を阻止し、戦局を大きく左右する出来事となりました。

戦いの背景

アンロクは、当時ビンロン省の省都であり、国道13号線上に位置する戦略的に重要な拠点でした。北ベトナム軍にとって、アンロクはサイゴンへの進攻路を確保する上で不可欠な目標であり、南ベトナム軍もその重要性を認識していました。南ベトナム軍は、第5師団を配置し、アンロクの防衛を強化していました。

戦闘の経過

アンロクの孤立（4月4日～4月8日）

1972年4月4日、解放戦線がアンロクへの攻撃を開始。南ベトナム軍は救援部隊を派遣しましたが、解放戦線はロクニンを占領し、国道13号線を遮断。アンロクは孤立しました。

激戦と航空支援（4月9日～4月12日）

解放戦線はアンロクへの侵入を試みましたが、守備隊はこれを阻止。南ベトナム軍は増援部隊を派遣するも、解放戦線に阻まれました。アメリカ軍は航空支援を実施し、B-52爆撃機などが参加。包囲下のアンロクへの補給を試みました。

空輸作戦（4月12日～）

北ベトナム軍は市街への砲撃と対空砲火を強化。南ベトナム空軍はC-123やC-119などの輸送機による空輸を試みましたが、撃墜される機体も出ました。その後、米空軍がC-130輸送機によるパラシュート投下を開始。5月2日からはHALO投下が導入され、包囲が解かれるまで継続されました。

第一次攻勢（4月13日～4月14日）

北ベトナム軍は戦車と歩兵による第一次攻勢を開始。アンロク守備隊は対戦車兵器M72 LAWを効果的に運用し、攻勢を撃退しました。住民からなる人民自衛隊も対戦車戦闘に協力し、南ベトナム軍を支援しました。

第二次攻勢（4月15日～4月23日）

解放戦線は第二次攻勢を開始。南ベトナム陸軍第1空挺旅団がアンロク市街西部に降下し、北ベトナム軍の警戒を強めました。米空軍のB-52による支援が行われ、解放戦線の攻勢は収まりました。その後も、包囲部隊による砲撃や襲撃が続きました。

第三次攻勢（5月11日～5月12日）

北ベトナム軍は第5師団と第9師団を主力とした第三次攻勢を開始。南ベトナム軍はアメリカ軍にB-52による航空支援を要請。市街を「ボックス」と呼ばれる座標で区分けし、地上部隊が航空支援を直接要請できる体制を整えました。B-52による絨毯爆撃は北ベトナム軍に大きな損害を与えましたが、解放戦線は徐々に前進を続けました。5月12日、北ベトナム軍と解放戦線による総攻撃が試みられましたが、街を確保するには至りませんでした。

反攻作戦と攻勢の中止（5月16日～6月9日）

フン将軍率いる守備隊は、B-52による支援を受けながら反撃に転じました。北ベトナム軍はホー・チ・ミンの誕生日を記念した大攻勢を敢行しましたが、南ベトナム軍の迎撃と米空軍の航空支援により撃破されました。6月9日までに、北ベトナム軍はアンロクに対する全ての攻勢計画を中断。6月18日、アンロクにおける戦闘の終了が宣言されました。

戦いの後

アンロクの戦いで勝利した南ベトナム軍でしたが、国道13号線を巡る戦いはその後も続きました。アンロクでの戦闘は、南ベトナム軍が米空軍による支援に深く依存していることを示しました。また、北ベトナム軍は、この戦い以降、戦術の転換を始めています。

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