アーサー・ギネス2世

アーサー・ギネス2世：ギネス帝国の継承者、そして銀行家

アーサー・ギネス2世（1768年3月12日 - 1855年6月9日）は、アイルランドおよびイギリスにおいて、実業家、そして銀行家として名を馳せた人物です。彼は、かの有名なアーサー・ギネスの息子として生まれ、父が築き上げたビール醸造事業、すなわちギネスを、さらなる発展へと導きました。

ギネス事業の継承と成長

1768年、アーサー・ギネス2世は、父アーサーと母オリヴィアの次男として生を受けました。成長とともに、彼は父の事業を積極的に手伝うようになり、1794年からは共同経営者としてその手腕を発揮し始めます。この時、ギネスの社名は「アーサー・ギネスと息子醸造会社」へと改められました。兄ホセアが聖職者の道を選んだため、1803年に父アーサーが亡くなると、アーサー・ギネス2世が事業を全面的に引き継ぐことになります。

彼の会長在任中、ギネスは目覚ましい成長と一時的な停滞という二つの局面を経験します。1815年までは順調に業績を伸ばし、年間生産量は6万6672樽に達しました。しかし、ナポレオン戦争終結後の経済不況の影響を受け、1823年には2万7185樽まで落ち込みました。

金融業への傾倒

一方で、金融業界におけるギネス家の地位は、ますます高まりました。アーサー自身も1818年にアイルランド銀行の副頭取に、そして1820年には頭取に就任し、金融家としての才能を開花させていきます。彼は次第に、ビール醸造業よりも金融業に自身の適性を見出すようになり、1820年頃には醸造事業を次男アーサー・リーと三男ベンジャミン・リーに委ね、自身は金融業に専念するようになりました。（長男ウィリアムは聖職者の道を選び、次男アーサーも後に醸造業への関心を失ったため、最終的には三男ベンジャミンが単独で事業を継承することになります。）

社会貢献と晩年

アイルランドで飢饉が深刻化していた1848年、アーサーは息子たちとともにアイルランド慈善事業に尽力し、社会への貢献を積極的に行いました。

1855年6月9日、アーサー・ギネス2世は、その波瀾万丈な生涯を閉じました。

家族

アーサー・ギネス2世は、1793年にアン・リーと結婚し、9人の子供をもうけました。アンと死別後、1821年にメアリー・ベイカーと再婚しましたが、彼女との間には子供はいませんでした。

ウィリアム・スマイス・リー＝グラッタン＝ギネス (1795-1864)
アーサー・リー・ギネス (1797-1863)
ベンジャミン・リー・ギネス (1798-1868) - ギネス経営者、準男爵
スザンナ・ギネス (1804-1836)
メアリー・ジェーン・ギネス (1808-1870)
ルイーザ・ギネス (1810-1856)
アン・ギネス (1812-1855)
エリザベス・ギネス (1813-)
* レベッカ・ギネス (1814-1870)

アーサー・ギネス2世は、ギネス帝国の発展に貢献しただけでなく、金融家としても成功を収め、社会貢献にも積極的に取り組んだ、多才な人物でした。

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