アーヌンド・ゴードスケ

アーヌンド・ゴードスケは、1070年頃に存在したとされるスウェーデン王であり、その生涯はブレーメンのアダムによる『ハンブルク教会史』に記録されています。彼の出自や業績については、限られた情報から様々な解釈がなされています。

出自と記録

『ハンブルク教会史』によれば、アーヌンドはキエフ・ルーシ、おそらくアルデイギュボルグ（現スタラヤ・ラドガ）の出身であるとされています。「ゴードスケ」という名は、当時のスカンディナヴィアにおいてキエフ・ルーシを指す「ガルダリキ」に由来し、彼のルーツを示唆しています。アーヌンドはキリスト教徒であり、ウプサラ神殿で行われる北欧神への生贄儀式を拒否したため、王位を剥奪されたと伝えられています。彼は自らの信仰を貫き、「イエスの名のもとに不面目を被ることに価値を見出し、喜びのうちにディング（集会）を去った」とされています。この出来事は、ブレーメンのアダムが1070年代半ばに『教会史』を完成させる直前に起こったとされています。

インゲ1世との関係

興味深いことに、アーヌンド・ゴードスケは、後のスウェーデン王インゲ1世と同一人物であるという説も存在します。この説の根拠としては、いくつかの文献においてインゲ1世が熱心なキリスト教徒であったと記述されていること、そして『ヘイヴォルとヘイズレク王のサガ』に、インゲが同様にブロート（生贄の儀式）の開催を拒否し、ヴェステルイェートランドへ亡命したという物語が語られていることが挙げられます。これらの記述は、アーヌンドとインゲ1世の間に共通する要素を示唆しており、同一人物説を支持する根拠となっています。

しかし、アーヌンド・ゴードスケとインゲ1世が同一人物であるという説は、あくまで推測の域を出ません。当時の記録が限られているため、確定的な結論を出すことは困難です。今後の研究によって、新たな事実が明らかになる可能性も十分にあります。

アーヌンド・ゴードスケは、短い記述ながらも、当時のスウェーデンにおける宗教的対立や政治的状況を垣間見ることができる興味深い人物です。彼の生涯は、信仰と権力の間で揺れ動いた、中世初期のスカンディナヴィアの歴史の一側面を映し出していると言えるでしょう。

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