アーノルド&リヒター

アーノルト＆リヒターの歴史と革新

アーノルト＆リヒター（Arnold & Richter、通称Arri）は、1917年にドイツのミュンヘンで設立された映画用機材の大手メーカーです。16mm、35mm、65/70mmといった高品質の映画機材を提供することで知られています。創業者のアウグスト・アーノルトとロベルト・リヒターの名に由来しており、創業以来業界の発展に寄与してきました。

特に注目すべきは、1937年にエーリッヒ・ケストナーが開発したレフレックスミラーシャッターを搭載したアリフレックス35カメラです。この技術により、撮影する前にファインダーを通して構図やピントを確認できるようになり、映画制作の質を飛躍的に向上させました。レフレックスミラーは、その後の多くの映画用カメラに影響を与え、今日でも広く使用されています。

第二次世界大戦後はスタジオ外での撮影需要に応えるため、軽量で持ち運びやすい可搬式カメラの開発に着手しました。1952年にはアリフレックス16STカメラを市場に投入し、この16mmフォーマットは報道やテレビ番組の制作に革命的な役割を果たし、約20,000台が販売されるヒット商品となりました。さらに、アリフレックス35BLは軽量化を実現し、カメラの使用範囲を広げることに成功しました。

アーノルト＆リヒターは、1967年からこれまでに13回のアカデミー賞の科学技術賞を受賞しており、その技術力と革新性が評価されています。1984年にはスペースシャトル計画において、宇宙での映像撮影に用いられるなど、映画制作の枠を超えた幅広い活用が続いています。

2011年時点で約1,200名の従業員を擁し、レンズはカール・ツァイスから供給されています。興味深いことに、アーノルト＆リヒターは競合相手のパナビジョン社と複雑な関係を築いており、互いに重要な顧客であり供給者でもあります。パナビジョンは映画カメラの貸し出し業者として世界最大で、アリのカメラもそのレンタルに含まれています。

近年では、デジタルシネマ市場にも進出し、最新のアリフレックスD-20カメラは35mmのCMOS撮像素子を搭載しており、標準的な映画用レンズとの互換性があります。また、ポストプロダクション向けの機材も開発しており、アリレーザーなどをラインアップに加えています。2000年にはムービーカムを買収し、新たなアリカムへと進化を遂げています。

現在、アーノルト＆リヒターの代表的なカメラであるアレクサは、ハリウッドのメジャー映画で最も多く使用されているデジタルカメラとしてその地位を確立しています。さらに、特筆すべき製品としてコンパクトなアリフレックス235カメラや上級モデルのアリフレックス416、様々な電球出力がある照明機器も展開しており、映画制作の多様なニーズに応えています。

アーノルト＆リヒターは、その長い歴史と数々の技術革新を通じて、映画制作の進化に寄与した名門企業として、多くの映画制作者たちから信頼されています。

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