イアン・デューリー

イアン・ロビンス・デューリー: 音楽と演劇の融合

イアン・ロビンス・デューリー（Ian Robins Dury、1942年5月12日 - 2000年3月27日）は、イギリスのシンガーソングライターであり、俳優としても多くの人々に親しまれました。デューリーは、20世紀後半の英国の音楽シーンにおいて、独自のスタイルとエネルギッシュなパフォーマンスで多大な影響を与えました。

幼少期と音楽の始まり

ロンドンのハーロウで生まれたデューリーは、7歳の頃に小児麻痺を患い、左半身に障害を持ちました。そんな中でも、彼は美術学校での学びを経て、友人たちと共に音楽活動を始めました。1966年のことです。その後、彼は「キルバーン＆ザ・ハイローズ」というバンドを結成し、1971年までの数年間にわたって本格的なライブ活動を展開しましたが、商業的には成功を収めることができませんでした。

イアン・デューリーとザ・ブロックヘッズ

デューリーのキャリアの転機は1977年に訪れました。彼はバンド「イアン・デューリー&ザ・ブロックヘッズ」を結成し、チャズ・ジャンケルやミッキー・ギャラガーなどの優れたミュージシャンと共に活動を開始します。その音楽スタイルはファンキーであり、特徴的なステージングで瞬く間に人気を集めました。特にシングル「Sex & Drugs & Rock & Roll」は全英チャートで2位にランクインし、アルバム『New Boots and Panties!!』も5位に達するなど、大成功を収めました。

次いで、1978年にはシングル「ヒット・ミー・ウィズ・ユア・リズム・ステック」が全英チャート1位を獲得し、2ndアルバム『Do It Yourself』は2位となりました。しかし、バンド内の重要なソングライターであるジャンケルが脱退すると、メンバーの変更が余儀なくされました。

復帰と俳優業

1980年のアルバム『Laughter』と1981年の『Lord Upminster』は、売上が期待されたほどではなかったものの、彼の音楽スタイルの深化を示すものでした。しかし、健康上の問題により1981年には療養生活を余儀なくされ、数年間のブランクを経て1984年に復帰します。復帰後には、アルバム『4,000 Weeks' Holiday』がリリースされましたが、商業的には成功には至りませんでした。

その後、彼は俳優としても活動を強化し、シェイクスピアの「ハムレット」に出演したことが新たな注目を集めるきっかけとなりました。1986年には日本に初来日し、再び音楽活動を活発化させます。

晩年の活動と影響

1990年にはザ・ブロックヘッズのドラムを担当していたチャーリー・チャールズが亡くなり、追悼ライブが行われ、それがアルバム『Live! Warts 'n' Audience』として残されました。その後も、デューリーは複数のアルバムを発表し続けましたが、2000年に癌により58歳でこの世を去りました。

彼の死後、2001年には豪華なアーティストたちが参加したトリビュート・アルバム『Brand New Boots & Panties』がリリースされ、その影響力が色褪せることはありませんでした。イアン・デューリーの作品は、音楽界における重要な位置を占め続けています。

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