イエダ・マリア・バルガス

イエダ・マリア・バルガス：ブラジル初のミス・ユニバース

イエダ・マリア・バルガス（Iêda Maria Vargas）は、1944年12月31日にブラジルで生を受けた元モデルです。彼女は1963年のミス・ユニバース世界大会で栄冠に輝き、ブラジル代表として初めてこの世界的なタイトルを獲得した人物として歴史に名を刻みました。

ブラジル南部、リオグランデ・ド・スル州のサプカイア・ド・スルで育った彼女は、3人の兄たちに囲まれて活発な少女時代を過ごしました。特にサッカーは、兄たちとの遊びの中で親しんだスポーツだったと言われています（出生地については、ポルト・アレグレとする資料も存在します）。

彼女の美しさは早くから注目を集め、1962年3月24日には「Rainha das Piscinas do Rio Grande do Sul」（リオグランデ・ド・スル州プール女王）に選出され、これが彼女にとって初めてのミスコンテストでの勝利となりました。この時の名前は、イエダ・マリア・ブルット・バルガスでした。キャリアは順調に進み、翌1963年5月には地元州の代表である「Miss Rio Grande do Sul」に輝き、ブラジル全国規模の美人コンテスト「Miss Brasil 1963」への出場権を得ました。

1963年6月22日、首都リオデジャネイロで開催された「Miss Brasil 1963」で優勝を果たし、晴れてブラジル代表としてミス・ユニバース世界大会へ派遣されることになりました。世界大会への出発を控える中、彼女はブラジルの軍用船に搭乗するという珍しい経験をしました。この船は、第一次国際連合緊急軍の一部隊をガザ地区へ輸送する任務を担っていました。

そして迎えた1963年7月20日、アメリカ合衆国フロリダ州のマイアミビーチで開催された第12回ミス・ユニバース世界大会にて、イエダ・マリア・バルガスは見事、各国の代表を抑えて優勝を果たし、ミス・ユニバース1963のタイトルを獲得しました。戴冠式の夜、優勝を祝うダンスパーティーが開かれ、ラテン音楽のリズムに乗って、ハリウッド俳優のダナ・アンドリュースと共に踊る姿が報じられました。

ミス・ユニバースとしての1年間の任期が始まりますが、彼女にはまず、アメリカでの長期滞在に関する調整が必要でした。大会主催者と彼女の父親との間で交渉が行われた結果、両親もニューヨークで娘と共に暮らすことが許可されました。特に母親は、娘の公務における正式なシャペロン（付き添い人）として認められ、多くの海外訪問に同行しました。この任期中、彼女は精力的に世界を巡り、実に21か国を訪問し、その総移動距離は40万キロメートルにも達しました。任期中の公務としては、1963年8月7日にメリーランド州にオープンしたCapital Plaza Mallの開業記念式典への出席などが挙げられます。

華やかな任期中、1964年2月にはニューヨークで思わぬトラブルに見舞われました。約24ドル相当の衣料品を万引きした容疑で一時逮捕されたのです。しかし、この件については最終的に不起訴処分となりました。当時の彼女の弁護士は、この出来事は「言葉の壁と誤解」によるものだったと説明しています。

ミス・ユニバースとしての任期を終え、ブラジルに帰国したイエダは、1968年に実業家のジョゼ・カルロス・アタナージオ氏と結婚しました。結婚を機に、彼女はアメリカ合衆国のマイアミへ移住し、二人の子供を授かりました。その後は公の場に出る機会は減り、家庭に重心を置いた生活を送ったと伝えられています。イエダ・マリア・バルガスは、ブラジル史上初めてミス・ユニバースとなった人物として、今も多くの人々の記憶に残っています。

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