イエバエ科

イエバエ科（Muscidae）

イエバエ科は、ハエ目（双翅目）に属する大きな科であり、イエバエやサシバエなど、人々の生活に深く関わる衛生害虫を多数含んでいます。世界中に分布し、その多様な生態と形態は注目に値します。

分布

イエバエ科の昆虫は、地球上のほぼ全域に生息しています。特にイエバエ亜科の種は分布域が広く、アジアやアフリカの熱帯地域では優占種となっている場合もあります。様々な環境に適応し、多様な生活圏を確立しています。

形態

イエバエ科の体長は、小型種では2mm程度、大型種では15mmに達するものもいます。体色は、黄色、黒色、褐色が一般的ですが、ミドリイエバエ属、コミドリイエバエ属、セスジミドリイエバエ属など、金属光沢のある緑色、青色、紫色の美しい体色を持つ種も存在します。また、トゲアシメマトイ属には光沢のある黒色の種が見られます。口吻は種によって異なり、花の蜜を吸う種では大きな唇弁や吻管を持ちますが、吸血性のサシバエ亜科の種では口吻が硬化しています。カトリバエ属では、口肢がスプーン型になるという特徴的な形態を示します。
幼虫は、体の前方が細く、後方が切れたような形状をしています。

生態

イエバエ科の成虫は、主に日中に活動します。食性は種によって様々で、花の蜜を摂食する種、小型の昆虫を捕食する種（ハナレメイエバエ亜科）、哺乳類から吸血する種（サシバエ亜科）などが存在します。卵から成虫への成長は比較的早く、イエバエの場合、25℃の環境下では約2週間で成虫になります。

分類

イエバエ科には、約170属4000種が記録されており、日本からは250種以上が確認されています。これらは、形態や生態に基づいて細かく分類されています。

人間との関係

イエバエ科の多くの種は、衛生害虫として人々の生活に影響を与えています。特に、家屋に侵入するイエバエは、不快感を与えるだけでなく、病原菌を媒介する可能性もあります。そのため、イエバエ科の昆虫の生態を理解し、適切な対策を講じることが重要です。

ギャラリー

[イエバエ科の画像1]
[イエバエ科の画像2]
[イエバエ科の画像3]
[イエバエ科の画像4]
[イエバエ科の画像5]
[イエバエ科の画像6]
[イエバエ科の画像7]
[イエバエ科の画像8]

参考文献

COUPLAND, J.B. & G.M. BARKER. 2002. Diptera as predators and parasitoids of terrestrial gastropods, with emphasis on. Phoridae, Calliphoridae, Sarcophagidae, Muscidae and. Fanniidae (Diptera, Brachycera, Cyclorrhapha), pp. 85-158 In: G.M. BARKER. 2002. Natural Enemies of Terrestrial Molluscs. CABI Publishing ISBN 978-0851993195
Peter Skidmore. 1985. The Biology of the Muscidae of the World (Series Entomologica). Dr. W. Junk Pub. Co. ISBN 978-9061931393
* 篠永哲『日本のイエバエ科』（2003年、東海大学出版会）（in English）ISBN 978-4-486-01603-8

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