イエロー・サブマリン 〜ソングトラック〜

『イエロー・サブマリン・ソングトラック』：ビートルズ楽曲の決定版

1968年に公開された、ビートルズを主人公としたアニメ映画『イエロー・サブマリン』。そのサウンドトラックとして1999年にリリースされたのが、『イエロー・サブマリン・ソングトラック』です。単なるサウンドトラックではなく、映画で使用されたビートルズの楽曲を、最新の技術を駆使してリミックス、リマスタリングした、まさに決定版と言える一枚となっています。

最新技術による驚異の音質

このアルバムでは、アビーロード・スタジオのエンジニア、ピーター・コビンがプロデューサーを務めました。コビンは5.1chサラウンド技術にも精通しており、その専門性を活かしたリミックスが実現しています。

作業では、ダビング以前のマスターテープまで遡り、各トラックを同期させることで、従来は一つのトラックにまとめられていたパートの音を分離。これにより、位相や音量を自由に調整できるようになり、音の分離の改善、ノイズの低減に成功しました。

単なる音質改善にとどまらず、サウンドデザインそのものも変更されています。例えば、ストリングスがモノラルだった「エリナー・リグビー」は、弦楽四部がそれぞれ独立して定位するステレオミックスに生まれ変わっています。また、オリジナルではボーカルが左に寄っていた箇所も、中央に修正されています。

「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」では、右チャンネルに固定されていたボーカルが中央に移動。さらに「オンリー・ア・ノーザン・ソング」は、オリジナルでは擬似ステレオだったものが、リアルステレオへと進化を遂げました。これらのリミックスによって、楽曲は新たな魅力を獲得し、新鮮な聴き心地を提供しています。

映画との同時リリース

CDリリースと時を同じくして、映画『イエロー・サブマリン』も5.1chサラウンド化、リミックス、画質の補正などを施したDVDが発売されました。これにより、音楽と映像の両面から、作品を最高の状態で楽しむことが可能になりました。

収録楽曲

アルバムには、映画で使用されたビートルズの楽曲が多数収録されています。ただし、中には「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」のように、映画に使用されたものの、本アルバムには収録されていない楽曲も存在します。また、ジョージ・マーティンによるオーケストラ楽曲は含まれていません。そのため、アルバムタイトルは『ソングトラック』となっています。

まとめ

『イエロー・サブマリン・ソングトラック』は、単なるサウンドトラックを超えた、ビートルズ楽曲の新たな解釈と言えるでしょう。最新の技術を駆使したリミックス、リマスタリングにより、音質、サウンドデザイン共に大きく進化を遂げた作品です。ビートルズファンはもちろん、高音質の音楽を好むリスナーにも強くおすすめしたいアルバムです。LPレコードは、初版のみイエローのヴァイナル仕様というコレクター心をくすぐる仕様も魅力です。5.1chサラウンドで映画と共に楽しむのも良いでしょう。

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