イエン・サリ

イエン・サリの人生と政治的経歴

イエン・サリ（クメール語: អៀង សារី）は1925年10月24日に生まれ、2013年3月14日に亡くなったカンボジアの政治家です。彼は、特にクメール・ルージュ政権下での副首相及び外相として知られ、政権内部では第3位の地位を有していました。

幼少期と教育

イエン・サリはフランス領インドシナのコーチシナにある裕福な地主の家庭に生まれました。幼少時に父親を失い、プレイベン州の親類に引き取られた後に、名をイエン・サリと改められます。彼は、その後リセ・シソワットという当時のトップ校に通い、そこで後の妻となるイエン・シリトと出会います。1951年、サリはパリへ留学し、同年にシリトと結婚しました。この結婚によって、彼はポル・ポトの義兄弟となります。

政治活動の始まり

1957年にカンボジアに帰国した後、サリは私立カンブボット高校で教えましたが、1960年のクメール人民革命党第2回党大会で党中央委員に選出されます。これを皮切りに彼の政治キャリアは加速し、1963年には党政治局員に選出され、党内序列の第3位に昇格しました。この頃、カンボジア各地での暴動が発生し、彼は地下に潜伏しつつ活動を続けました。

民主カンプチア政権での活躍

1975年にクメール・ルージュが政権を奪取すると、サリはポル・ポト内閣で副首相兼外務大臣に任命されます。彼はその後、日本との国交を樹立するなど、国際関係の構築にも寄与しました。1978年には、カンボジアの人口推計を発表し、外部に伝わり始めていた大虐殺の事実を否定する記者会見を行いました。

ベトナム戦争とゲリラ活動

1979年にベトナム軍がカンボジアに侵攻すると、サリは西部国境に逃れ、ゲリラ戦を展開します。彼は1996年までカンボジア西部地域を支配し、タイとの貿易で多大な利益を上げていました。しかし、その後の対立やイデオロギーの確執から、1996年に彼は政府に降伏し、恩赦を受けることとなります。

引退と逮捕

サリはその後、しばらくして健康問題に悩まされつつも、2007年にはクメール・ルージュ政権時代の虐殺に関する裁判を受け、逮捕されました。2010年には他の幹部と共に起訴され、彼の一生の大半を占めた政治活動の終焉が近づきます。

最期と影響

彼は2013年3月14日にプノンペンで亡くなりました。87年の生涯を通じて、イエン・サリはカンボジアの歴史に大きな影響を与えた政治家の一人でありました。彼の人生とその時代の出来事は、カンボジアの歴史に深く刻まれています。

関連文献

この文章の参考として、デービッド・Ｐ・チャンドラーや井上恭介、山田寛の著作などが挙げられます。

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