イオン (化学)

イオンとは？

イオン（独: Ion、英: ion、中: 離子）は、原子または分子が電子を失ったり得たりすることによって電荷を帯びたものを指します。これは、主にプラズマ状態の物質、電解質の水溶液、またはイオン結晶などの物質中に見られます。イオンという名称は、ギリシャ語の「ιόν」（意味：移動すること）に由来し、陽極または陰極に引かれて動く性質から名付けられました。

イオンの種類

イオンは主に電荷によって2つの大きな種類に分けられます。これらは陽イオン（カチオン）と陰イオン（アニオン）です。

陽イオン（カチオン）

陽イオンは、電子を放出して正の電荷を持つ原子や原子団を指します。金属元素においては、安定した陽イオンを形成するものが多く見られます。

陰イオン（アニオン）

一方、陰イオンは電子を受け取って負の電荷を持つ原子や原子団を指します。ハロゲンや酸素などの元素が安定した陰イオンを形成することが知られています。

気相のイオン

気体中のイオンを指す場合、物理学や化学物理学の文脈では、陽イオンを「正イオン」、陰イオンを「負イオン」と表現することが多いです。また、大気電気学では、これらを「大気イオン」と呼びます。特に「マイナスイオン」という表現は和製英語として広まりましたが、正確には科学的な定義がなく、誤解を招くこともあります。

イオンの構成による種類

イオンはその構成によっても分類されます。

単原子イオン

単原子イオンは、一つの原子から成るイオンです。

多原子イオン

多原子イオンは、複数の原子から成るイオンです。

錯イオン

錯体から形成されるイオンは、正または負の電荷を持つため「錯イオン」と呼ばれます。

クラスターイオン

同種の原子や分子が複数個結合し、電荷を帯びたものを指します。

イオン価

イオンの電荷数は「イオン価」または「価数」として表されます。陽イオンと陰イオンのどちらでも価数は正の値で示されることが一般的です。たとえば、硫酸は2価の硫酸イオンとして存在します。

イオンの表現方法

化学式においては、イオンの価数は通常、化学式の右上に記載されます。1価の場合は符号のみで表されます。

• - 水素イオン（1価の陽イオン）: H⁺
• - 硫酸イオン（2価の陰イオン）: SO₄²⁻

陽イオンの名称は「元素名 + イオン」の形で呼ばれ、一方、陰イオンは「元素名 + 化物」の形式になります。ただし、例外も多いため注意が必要です。単原子イオンと多原子イオンもこの分類に従います。

例えば、硝酸ナトリウムは次のように分解可能です:
ナトリウムイオン（Na⁺） + 硝酸イオン（NO₃⁻）。

また、水酸化マグネシウムは、マグネシウムイオン（Mg²⁺）と水酸化物イオン（OH⁻）に分かれます。

まとめ

イオンは化学や物理の様々な分野で重要な役割を果たしており、それぞれの性質や構成を理解することが、化学反応や物質の性質を理解する上で不可欠です。

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