イオンクロマトグラフィー

イオンクロマトグラフィーとは

イオンクロマトグラフィー（IC）は、特にイオンや極性の分子を分離するための高度なクロマトグラフィー技術です。この手法は、主に電荷を持つ分子の分析に使用され、様々な用途で重要な役割を果たしています。たとえば、タンパク質の精製、水質の分析、品質管理などで活用されています。特に、大きなタンパク質、小さな核酸、アミノ酸といった多様な分子がこの技術で処理可能です。

原理と手法

イオンクロマトグラフィーの基本的な仕組みは、等電点が異なるタンパク質やイオンが分離されることにあります。イオンクロマトグラフィーには主に「陽イオンクロマトグラフィー」と「陰イオンクロマトグラフィー」の2つの種類があります。それぞれのプロセスは以下のようになります。

陽イオンクロマトグラフィー

陽イオンクロマトグラフィーでは、固定相に陽イオン交換基（例えばスルホン酸、カルボン酸、リン酸など）を用います。移動相には緩衝液が使用され、低いpHでイオンが固定相に結合します。その後、緩衝液のpHを徐々に上げることで、結合していたイオンが解放されていきます。この過程では、酸性物質から先に溶出し、次に塩基性物質が続くという順序になります。

陰イオンクロマトグラフィー

一方、陰イオンクロマトグラフィーは、固定相に陰イオン交換基（例えばアンモニウムイオン）を使用します。こちらも移動相に緩衝液が用いられますが、高いpH環境でイオンを結合後、徐々にpHを下げていくことで溶出が進みます。この場合、塩基性物質が最初に溶出し、後に酸性物質へと続きます。

機器構成

イオンクロマトグラフィーを実施するための機器は、ポンプ部、インジェクション部、カラム部、検出部から構成されます。サプレッサー方式を採用したイオンクロマトグラフでは、カラムと検出器の間にサプレッサーが配置されることが特徴です。これにより、より高感度な分析が可能になります。主に電気伝導度検出器が使用されますが、陰イオン分析の際には吸光度検出器も利用されることがあります。また、特定の毒性物質の測定には、ポストカラム誘導体化と吸光度検出法が利用されることもあります。

製造会社

イオンクロマトグラフィーの機器を製造している企業には、日本ダイオネクス、GEヘルスケア・ジャパン、東ソー、メトロームジャパン（Metrohm）が含まれます。

関連項目

イオンクロマトグラフィーに関連する概念として、等電点、イオン交換、高速液体クロマトグラフィーがあります。これらの技術や概念を理解することで、より深い知識が得られるでしょう。

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