イオン南越谷店

埼玉県越谷市南越谷に位置する「イオン南越谷店」は、大手流通企業イオンリテールが運営する大型商業施設です。この施設は、多機能複合施設である「越谷サンシティ」の中核を担っており、ショッピングエリアに加え、コンサートホール「サンシティホール」や越谷市役所の南部出張所、市立図書館の南部図書室といった公共施設も同じ敷地内に併設されているのが大きな特徴です。

沿革

イオン南越谷店は、かつて「ダイエー南越谷店」として1979年6月15日に開業しました。越谷サンシティの一部として、長年にわたり地域の商業を支えてきましたが、大きな転機が訪れます。

その経営を引き継いだイオンリテールは、2015年に運営主体に対して2019年8月での店舗閉鎖の方針を伝達しました。これを受けて、越谷市は店舗を含む越谷サンシティ全体の将来的な再開発計画を検討し始め、イオンリテールに対して家賃の大幅な減額を提案。この提案が受け入れられたことで、イオンリテールは閉鎖の決定を取り下げました。そして2016年3月6日、店舗の屋号を「ダイエー」から「イオン」へと変更し、営業を継続することになったのです。これに先立ち、同年3月1日にはイオンリテールへの営業権承継が行われ、3月3日にダイエーとしての営業を終えています。さらに、2020年8月には、越谷市が越谷サンシティ全体の所有権を取得しています。

施設の特徴と構成

越谷サンシティ内にあるイオン南越谷店は、公共施設との一体運営という珍しい形態をとっています。過去には、すべてのフロアがダイエーの直営売り場やテナントでしたが、2012年11月18日に4階から6階フロアが閉鎖された後、2013年7月26日には越谷サンシティの専門店エリアとして4階と5階がリニューアルオープンしています。また、越谷市立図書館南部図書室は、2014年9月1日に6階フロアに移転しました。

地域イベントとの関わりも深く、毎年8月に周辺で開催される「南越谷阿波踊り」では、店舗1階の入口付近に特設会場が設けられ、組踊りや阿波踊り教室などが開催されます。かつてダイエー時代には、5階の催事場でも組踊りが行われた実績があります。

フロア構成や現在の専門店については、公式サイトで詳細が確認できます。過去には、ジーユー、メガネの愛眼、新星堂、ヤマダデンキ、生地手芸 トーカイ、らんらんらんど、日本旅行OMCトラベルといった様々な専門店が出店していました。

越谷サンシティ再開発計画

建物が竣工から40年を経過した2019年頃、越谷サンシティ全体の大規模な再開発計画が持ち上がりました。当初策定された整備基本計画では、現在の建物を2023年度まで利用し、その後2024年度以降に全ての施設を解体・撤去して、2028年度までに新しい複合施設を建設する予定でした。この計画では、既存の公共施設（イベントホール、図書室、出張所など）は新施設にも再設置される方針が示され、市民からの要望としてバスケットボールチーム「越谷アルファーズ」の本拠地となりうるアリーナの設置なども挙がっていました。

しかし、資材価格の高騰といった影響を受け、事業期間が1年遅延した後、2023年に計画が修正されました。この修正案では、越谷サンシティの中でもサンシティホールのある棟については、解体せずに大規模な改修工事に留めることになりました。これにより、総建設費は約320億円から約150億円へと大幅に圧縮され、現施設の利用は2026年度まで継続されることとなりました。越谷市は計画変更の理由として、今後10年以内に改修が必要な公共施設が市内に多数存在するため、市の財政負担を抑制する必要があることを挙げています。一方で、越谷市議会では同年6月、再開発計画の方針決定を議会の専決事項とすることを求める請願が可決されるなど、議会でもこの計画に対する関心は高い状況です。

イオン南越谷店は、地域住民の生活を支える商業機能に加え、公共サービスや文化活動の拠点としても重要な役割を担っています。将来の再開発計画の進展によって、その姿は今後変化していくことが見込まれます。

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