イギリスファシスト党

イギリスファシスト党の歴史

イギリスファシスト党（The British Fascists）は、1923年から1935年まで存在したイギリス初のファシズムを提唱した政治団体です。本党の設立者であるロウサ・リントーン＝オーマンは、前年にイタリアでベニート・ムッソリーニが権力を握ったことに影響を受けていました。当初、党名はイタリア語風に「British Fascisti」と名乗ったものの、海外の影響を強調されることから、後に英語の「Fascists」に改められています。

結党当初の活動

設立早々、イギリスファシスト党はほとんど注目を集めず、一般にはボーイスカウトの大人版として捉えられていました。党の主な政策としては、ムッソリーニへの敬意を示しながら反共主義を掲げることがほとんどであり、具体的なプランは乏しかったのです。しかし、1924年に労働党が政権に入ると、社会主義に対する不満から党に参加する人々が増加しました。特に、第一次世界大戦に従軍した退役軍人たちが多く党員となり、保守党との接触を試みる動きもありました。

党が掲げた少数の政策の一つには所得税の減税があり、これは富裕層が多くの使用人を雇うことから失業問題が解消されるという理論に基づいていました。しかし、1926年の大規模なゼネストを経た後、党は方向性を見失い、衰退の兆しを見せます。

ゼネストとその影響

1926年のゼネストは、イギリスファシスト党にとって重要な転点となりました。このストライキは主に労働者の労働条件向上を目的としていたため、党が意図した「ボルシェヴィキ革命」に結びつくものではありませんでした。政府の試みに参加できなかった党は、一部は分裂し「イギリス忠誠党」と名乗る集団が形成される事態となりました。このように、ストライキによる影響は深刻で、イギリスファシスト党は目的と方向性の喪失を余儀なくされたのです。

衰退と再編

イギリスファシスト党は、その後も貴族院の権限強化や参政権制限、反労働組合的な主張を展開しました。1927年には党員用の青い制服を導入し、党のアイデンティティを強化しようとしました。しかし、1931年以降はムッソリーニの方針をそのまま採用するようになり、競争相手のイギリスファシスト連盟（BUF）が登場することで、その立場がさらに脅かされました。

また、1930年代に導入された治安関連の法令により、制服での活動が禁止され、次第に集会の自由も制限されました。これにより、党勢は著しく後退しました。顕著な指導者であるニール・フランシス・ホーキンスがBUFの傘下に移籍するなど、党の統合路線を拒んでいたリントーン＝オーマンも手をこまねいていました。

最後の活動と終焉

党は対応策として反ユダヤ主義を強め、ヒトラー政権下のドイツへの支持を示しましたが、 BUF への人員流出により党の立場はますます強固さを失いました。最終的にリントーン＝オーマンが1935年に亡くなると、党はわずか数人のメンバーによる活動を残しながら同年の10月には活動を停止しました。

当時、イギリスファシスト党は法人登録されていましたが、清算の際には資産20ポンドに対して1706ポンドの負債が確認され、その終焉が物語るように、党の歴史は苦悩の連続であったことが伺えます。

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