イギリス土木学会

イギリス土木技師学会 (ICE)

イギリス土木技師学会（Institution of Civil Engineers、略称：ICE）は、1818年に英国のロンドンで設立された、土木技術分野における世界有数の専門家団体です。当初はイギリス国内の組織として発足しましたが、現在では国際的な広がりを持ち、2012年の時点で、世界150カ国に約8万人の会員を擁しています。

役割

ICEは、土木技術専門職の発展と向上に貢献するため、多岐にわたる活動を行っています。主な役割は以下の通りです。

専門的な学びの支援・促進: 学生や現役の技術者に対し、継続的な学習機会を提供し、専門知識・技能の向上をサポートします。
職業倫理の管理: 土木技術者としての高い倫理基準を設定し、その遵守を徹底します。
技術者の地位向上: 社会における土木技術者の重要性を啓蒙し、その地位保護に努めます。
政府等への提言: 政府をはじめとする関係機関に対し、専門職の立場から意見を述べ、業界の利益を代表します。
技術基準の設定・推進: 土木工事における技術的な基準設定に関与し、より安全かつ効率的な技術の普及を推進します。
産学連携: 産業界と学術界の連携を強化し、研究成果の実用化や技術革新を促進します。
教育カリキュラムへの助言: 大学などの教育機関に対し、土木技術教育のカリキュラムに関する専門的な助言を行います。

組織

ICEは、その目標達成のために様々な部門を通じて活動を展開しています。

学会は、土木工学の研究成果や業界のベストプラクティスを紹介する技術的な検討レポートを発行しています。

商業部門であるトーマス・テルフォード社（Thomas Telford Ltd）は、研修プログラムの提供、採用支援、出版活動、そしてNECエンジニアリングおよび建設契約をはじめとする契約サービスの提供などを担っています。この商業活動から得られた収益は、すべて学会の中心的な目的である「土木技術者を社会の中心に位置づける」活動に還元されています。

出版部門であるアイスパブリッシング（ICE Publishing）は、1836年以来、学術出版に携わってきました。現在では、年間約30冊の書籍（「ICEマニュアルシリーズ」など）と、土木分野に関連する26種類の学術ジャーナルを発行しています。これらのジャーナルには、「地盤工学のICE手続き」や「コンクリート研究誌」などが含まれます。また、「アイスサイエンスシリーズ」として、ナノ材料・エネルギー、エマージング材料研究、バイオインスパイアード、バイオミメティックおよびナノバイオ材料、グリーン材料・表面イノベーションといった最先端分野の5誌を出版しています。さらに、学生会員を除く全ての会員には、毎週「新しい土木エンジニア」誌がEマップ社から発行され、配布されています。

資格

ICEは、土木技術者としての専門性を証明するための資格制度を設けています。

学生会員: ICE認定を受けた土木、構造、または環境工学分野のアカデミックコースを履修する学生は、学生会員として入会できます。英国の多くの大学で提供されている土木関連学部コースは、ICEの認定を受けています。
大学院会員: 大学での研究課程を修了した個人は、大学院会員になることができます。これは、将来的に正会員資格を取得するための重要なステップとなります。
正会員 (MICE): 実務経験を積み、学会が定める基準を満たした技術者は、正会員（Member of the Institution of Civil Engineers、略称：MICE）となることができます。
* フェロー (FICE): 長年の顕著な功績と貢献が認められた専門家は、最高位の資格であるフェロー（Fellow of the Institution of Civil Engineers、略称：FICE）として認められます。

社会事業

ICEは、土木業界内の特定の関心分野をサポートするため、異なる時期に設立された13の関連団体を管理しています。これらの団体の中には、国際的な組織やヨーロッパの機関の英国支部として機能しているものもあります。これらの活動を通じて、幅広い専門分野における知識交換やネットワーキングを促進しています。

学会に関する詳細情報は、公式サイトおよび各種ソーシャルメディア（Facebook, Twitter, YouTube）で確認できます。

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