イギリス海外派遣軍 (第二次世界大戦)

第二次世界大戦におけるイギリス海外派遣軍（BEF）

第二次世界大戦勃発時、イギリス陸軍がヨーロッパ大陸へ派遣するために編成した組織、それがイギリス海外派遣軍（British Expeditionary Force, BEF）です。1939年に編成され、西部戦線においてドイツ国防軍と激戦を繰り広げましたが、1940年のドイツ軍による西方電撃戦により敗退し、イギリス本土への撤退を余儀なくされました。その後、再編・廃止という道を辿ります。

編成の背景と初期の展開

イギリスは、戦時においてヨーロッパ大陸への兵力派遣を想定していました。1939年9月1日にドイツ軍がポーランドへ侵攻し、第二次世界大戦が開戦すると、その構想に基づき、第6代ゴート子爵ジョン・ヴェレカー大将を司令官とするイギリス海外派遣軍（BEF）を編成し、フランスへの兵力派遣を開始しました。協定により、指揮権はフランス軍の隷下に置かれました。

1939年10月より、部隊は北フランスへの展開を開始します。しかし、いわゆる「まやかし戦争」の間は、3個軍団をフランスに展開させたものの、実質的な戦闘は発生しませんでした。この期間は、戦力の増強と準備に費やされたと言えるでしょう。

ドイツ軍の侵攻とダンケルクの戦い

1940年5月、ドイツ軍がベルギーとフランスへの侵攻を開始すると、BEFはベルギーへも展開しました。しかし、ドイツ軍の圧倒的な戦力と電撃戦の前に敗退を重ね、主力部隊はダンケルクで包囲されるという危機的な状況に陥ります。

この状況を打開するために発動されたのが、ダイナモ作戦です。この作戦により、BEFは重火器のほとんどを失ったものの、兵員をイギリス本土へ撤退させることに成功しました。この撤退は、イギリスにとって戦略的な勝利であり、後の反撃の足掛かりとなりました。

フランスからの撤退とBEFの終焉

ダンケルクで包囲を免れた部隊や後方部隊は、その後もフランス領内で行動を続けましたが、続くサイクル作戦、エアリアル作戦を通じて、6月中にイギリス本土へ撤退しました。これにより、ヨーロッパ大陸へ派遣されたイギリス兵力はほぼ消滅し、BEFは廃止されることとなりました。

BEFの歴史は、第二次世界大戦初期におけるイギリスの苦戦を象徴する出来事と言えるでしょう。しかし、ダンケルクからの撤退戦における兵士たちの勇敢な行動は、イギリス国民に大きな勇気を与え、その後の戦いへと繋がっていきました。

参考文献

詳解 西部戦線全史 山崎雅弘 学研 2008年 ISBN 4059012157

関連項目

イギリス海外派遣軍 (第一次世界大戦)：1914年編成
ネヴィル・チェンバレン
バーナード・モントゴメリー
* ジョン・ヴェレカー (第6代ゴート子爵)

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