イギリス陸軍ジャングル戦闘訓練学校

イギリス陸軍ジャングル戦闘訓練学校は、英国陸軍が有する専門的な訓練機関の一つです。この学校の最も重要な役割は、熱帯の密林という極めて特異な環境下での戦闘や生存に必要な高度な知識、技術、そして戦術を、英国陸軍の兵士たちに効果的に伝達できる質の高い指導者を育成することにあります。

現在、この訓練学校は東南アジアに位置するブルネイ国内に置かれています。具体的な場所は、ブルネイのセリアにあるブルネイ駐留イギリス軍基地内です。ブルネイ周辺に広がる広大な熱帯雨林は、ジャングル戦の現実的な訓練を行う上で理想的な地形条件や気候条件を提供しています。ここでは、密生した植生の中での移動、限られた視界下での敵の捜索、複雑な地形におけるナビゲーション、過酷な高温多湿な気候への適応、熱帯特有の疾病への対処法、そしてジャングルでのサバイバル技術など、多岐にわたる専門分野に精通し、それらを的確に教えることができる教官たちが日々訓練を受けています。養成された教官たちは、英国陸軍の各部隊に戻り、ジャングル環境下での任務遂行能力を高めるための訓練プログラムを主導する重要な役割を担います。これは、多様な地理的環境での英国陸軍の作戦遂行能力と即応性を維持するために不可欠な機能です。

この訓練学校には、現在のブルネイにおける活動とは異なる歴史的な時期が存在します。1948年から1971年までの約20年間、学校は現在のマレーシア国内に設置されており、その所在地はジョホール州のコタ・ティンギでした。このマレーシア時代には、訓練の対象が英国陸軍内部に限定されず、より広い範囲に門戸を開いていました。設立当初は、主にイギリス連邦に属する様々な国々の軍隊から派遣された兵士たちが訓練生として受け入れられていました。これは、かつての広範な大英帝国の影響下にあった熱帯地域における防衛や治安維持の必要性に対応するための、連邦内協力の一環であったと考えられます。さらに時代が進むにつれて、訓練参加の機会はイギリス連邦加盟国以外の、特にアジア各国の軍隊にも広げられました。これにより、地域の軍事的な専門知識や技術水準の向上に貢献しました。ブルネイへの移転後、学校の役割はより英国陸軍内部の専門家育成に特化しましたが、コタ・ティンギ時代の多国籍な訓練経験は、この学校の歴史における重要な一頁となっています。熱帯地域における特殊な軍事技能の習得という目的は一貫していますが、その活動拠点や訓練対象は時代の要請と共に変化してきました。

もう一度検索