イシュメル

悠木碧 1stオリジナルアルバム『イシュメル』

声優・歌手として活躍する悠木碧さんの1枚目のオリジナルアルバム『イシュメル』は、2015年2月11日にflying DOGから発売されました。

背景

本作は、全曲を通して一つのストーリーが展開されるコンセプトアルバムです。「スキマの世界」をテーマに、9曲目の「ダスティー！ダスティーストマック」に登場する「Baggy」「Stinky」「Frosty」「Wooly」という名前の「スキマ怪獣」が重要な役割を担っています。

悠木さんによれば、スキマ怪獣は従来の怪獣とは異なり、怖さよりもどこかユーモラスな存在とのこと。アルバム全体で一つの物語を構成したかったため、シングル曲の収録には苦慮したそうです。制作にあたっては、聴き手に媚びない姿勢を心がけたと語っています。

アルバムタイトル『イシュメル』は、悠木さんが飼っている猫のアシュベルに由来します。本当はイシュメルと名付けたかったものの、聞き間違いでアシュベルと登録されてしまったというエピソードから、1枚目のオリジナルアルバムを我が子同然に想う気持ちを込めて名付けられました。PVにはアシュベルは登場しませんが、「いない猫の名前」という、どこか曖昧な意味合いも込められています。

リリース

『イシュメル』は、初回限定盤（VTZL-92）と通常盤（VTCL-60383）の2形態で発売されました。どちらの形態にも、購入者対象のイベント参加応募情報と、同年4月19日に開催されたファーストライブ『悠木碧 Concert 2015「プルミエ！」』のチケットCD購入者先行予約情報が封入されました。

初回限定盤は三方背トールケース仕様で、「アールデコラージュ ラミラージュ」のPVとメイキング映像を収録したDVD、さらに悠木さんの脳内世界を凝縮したビジュアルブックが同梱されています。

また、本作の発売を記念して、タワーレコードでは『TOWERanime ♡ 悠木碧』と題したコラボレーションが、2015年2月10日から3月9日まで実施されました。

批評

CDジャーナルは、「シングルを含む、“可愛いだけでは終わらない”独自の“悠木ワールド”をさらに昇華させた一枚」と評価しました。

bounce編集部の土田真弓氏は、「〈片方が見つからない靴下〉に始まる摩訶不思議な詞の連続性でも惹き込む、コンセプチュアルな逸品だ」と評しています。

楽曲について

アルバムに収録された楽曲は、それぞれが「スキマの世界」の物語を彩る重要な要素となっています。

SWEET HOME: 人間界の女の子がスキマ世界に巻き込まれるきっかけを描いた楽曲。家族の日常とスキマ世界の存在が交錯する様子が描かれています。
アールデコラージュ ラミラージュ: スキマ世界の構造を歌った楽曲。様々な国のモチーフが混ざり合い、混沌とした世界観が表現されています。
ビジュメニア: テレビアニメ『世界征服〜謀略のズヴィズダー〜』エンディングテーマ。
twinkAtrick: 2ndシングル「クピドゥレビュー」カップリング曲。
たゆたうかなた: スキマターミナルから開いた別の世界を描いた楽曲。悠木さんの愛金魚の死を悼み、死生観を表現した美しいバラードです。
迷宮舞踏会: スキマ怪獣のStinkyとFrostyのデュエット曲。StinkyへのFrostyの恋心と、Stinkyの無邪気な様子がコミカルに描かれています。
ロッキングチェアー揺れて: 「SWEET HOME」に登場する祖母の心情を歌った楽曲。過去の出来事と現在の想いが交錯し、家族の絆が描かれています。
ソラミミPiZZiCATO: スキマ怪獣のWoolyをテーマにした楽曲。マイペースで騒がしいWoolyのキャラクターが、コミカルな歌唱で表現されています。
ダスティー！ダスティーストマック: スキマ怪獣たちが勢揃いする楽曲。若い頃の祖母とBaggyの恋模様が描かれています。
クピドゥレビュー: テレビアニメ『彼女がフラグをおられたら』オープニングテーマ。
* Angelique Sky: スキマ怪獣のBaggyが、女の子や祖母への想いを歌った楽曲。人間と怪獣の切ない恋心が描かれています。

『イシュメル』は、悠木碧さんの豊かな表現力と独創的な世界観が凝縮された、聴きごたえのあるアルバムです。「スキマの世界」を舞台にした物語は、聴く人それぞれの想像力を刺激し、新たな発見をもたらしてくれるでしょう。

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