イジャスラフ3世

イジャスラフ3世（? - 1162年）は、キエフ大公国の大公位を巡る争いの時代に生きた人物です。父はダヴィド、祖父はキエフ大公スヴャトスラフ2世にあたります。彼は、ユーリー・ドルゴルーキーやロスチスラフ1世といった有力者たちとの間で、キエフ大公の座を巡る激しい攻防を繰り広げました。

1154年、イジャスラフ2世の死後、ロスチスラフ1世がキエフ大公の座に就きます。しかし、イジャスラフ3世はこれを認めず、ロスチスラフ1世に承認を求めることを拒否しました。この対立は軍事衝突に発展し、イジャスラフ3世が勝利を収めます。キエフ市民は彼を新たな大公として迎え入れました。

しかし、北方のユーリー・ドルゴルーキーがこれに異議を唱え、イジャスラフ3世はキエフを放棄し、チェルニゴフへと退却します。その後、ユーリー・ドルゴルーキーがキエフを占領しました。イジャスラフ3世は再びキエフ大公位を目指しますが、ユーリーの息子グレプと自身の娘との結婚を通じて同盟関係を築きます。

1157年にユーリー・ドルゴルーキーが死去すると、ポーロヴェツ族の襲撃を恐れたキエフ市民は、再びイジャスラフ3世をキエフに迎え入れ、大公位に就けます。しかし、この動きを快く思わないガーリチのヤロスラフ公が1159年にイジャスラフ3世を破り、彼は再び逃亡を余儀なくされます。

その後も、イジャスラフ3世はキエフ大公位への執念を捨てず、1161年にキエフを征服し、再び大公の座に就きました。しかし、前大公ロスチスラフ1世との和平交渉は決裂し、ロスチスラフ軍の増強を前にして逃亡します。追っ手によって殺害され、波乱に満ちた生涯を終えました。

イジャスラフ3世の生涯は、当時のキエフ大公国が置かれていた政治的混乱と、大公位を巡る激しい権力闘争を象徴しています。彼の生涯は、キエフ大公国の歴史における重要な一幕として、記憶されるべきでしょう。

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