イスラーフィール

イスラーフィール：イスラームにおける天使の役割

イスラーフィール（アラビア語：إسرافيل）は、イスラーム教において神の玉座を支える重要な天使です。また、復活の日には告知の角笛を吹く役割を果たします。この天使の名前は、主に非アラビア語からの由来と考えられ、多様なカタカナ表記や英字表記で表現されています。この記事では、イスラーフィールの基本的な役割や外見、性質、関連する教義について詳しく見ていきましょう。

名前と由来

イスラーフィールという名前は、聖典であるクルアーンには具体的に記されていませんが、預言者言行録やイスラーム法学者の注釈で語られています。また、アラビア語資料によってはイスラーフィーンという形で登場することもあります。イスラーフィールの英字表記は複数存在しており、例えばIsrafilやIsrafelなどが挙げられます。日本語のカタカナ表記でも、イスラフィルやイスラフェルといったバリエーションがあります。

外見・姿

イスラーフィールの姿については、預言者言行録や学者の論考を通じて伝えられています。彼は神の玉座を支えており、特にその首付近に位置しています。四枚の翼を持ち、そのうちの二枚は西と東に向かっています。彼の巨体は、頭が七天の上に、両足が七地の下に及ぶと言われています。周囲には、彼の身体から離れた天使たちもいます。

性質・役割

イスラーフィールは唯一神アッラーの玉座を支える四天使の一人です。彼は神の最も近くにいる天使であり、終末の時には死者を復活させるための号令を出す役割を持っています。また、神が記した命運を管理し、最初の人間アーダムに対して跪拝するよう命じられたときも、彼が最初に従ったとされています。

この天使は、いわゆる三大天使の一人であり、ジブラーイール（ガブリエル）やミーカーイール（ミカエル）の後に位置します。その背後には、死を司る天使アズラーイールの存在もありますが、これにはイスラム学者の間で異なる見解が存在します。

終末と復活を知らせる角笛

復活の日が到来する時、イスラーフィールは告知の角笛（スール）を吹きます。この角笛は三回吹かれるとされており、それぞれの間には40の日、月、または年といった時間が経過します。最初の角笛が吹かれると、大地や天が揺れ動きます。次に全ての生き物が死に、三度目の角笛が聞こえると、アッラーの命令により死者が復活します。

この角笛はイスラーフィール特有のもので、天地創造の後にアッラーによって与えられたものです。具体的には巨大な角で作られ、天と地の間に届くほどの大きさを持っています。これに関しては預言者言行録でも言及されています。

天使イスラーフィールの死と復活

イスラームの教義によると、イスラーフィールを含めた全ての天使は不死ではなく、神の命令によって死を迎える存在です。終末の日において、死を司る天使が死亡し、その後にイスラーフィールが復活して角笛を吹くとされています。

たとえば、一部の解釈では、イスラーフィールが最後の審判の後に復活を果たし、再び死者を蘇らせる役割を担うという見解も存在します。しかし、この詳細については定まっていない部分が多いため、様々な説が流布することがあります。

イスラーフィールに関する言説

イスラームの文献において、イスラーフィールは音楽や歌に関与するとされたり、地獄を見回る役目を持つといった記述も存在しますが、これらはイスラームの正式な教義ではなく、誤解や創作から生じたものとされます。また、イスラーフィールの美声は天国で特に称賛されるものであるという見解もありますが、天界における音楽や歌に関する教義は不明確です。

結論

イスラーフィールは、イスラーム教において重要な役割を持つ天使であり、復活の日における告知の角笛を吹くことで生者と死者の境界を超える存在です。その外見や役割については多様な解釈が存在しますが、基本的な教義としてアッラーの玉座を支える役割と復活の使者としての側面が重視されています。

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