イタリアとの平和条約

イタリアとの平和条約

1947年2月10日、イタリアと連合国との間で締結されたイタリアとの平和条約は、第二次世界大戦の終結後に画定された重要な講和条約です。この条約は、特に領土変更や賠償責任、軍事制限に関する規定が盛り込まれ、同年9月15日より施行されました。

領土変更

条約の主要な特徴の一つは、イタリアの領土に関する大規模な変更です。アドリア海に浮かぶいくつかの島々（ツレス島、ロシニ島、ラストヴォ島、パラグルジャ）はユーゴスラビアに割譲され、イストリア半島の南部、ダルマチア地域のザダルやリエカも同様にユーゴスラビアに移譲されました。また、ドデカネス諸島はギリシャに、フランスとイタリアの国境沿いの町のいくつかはフランスに移されました。この他、アルバニアの独立が承認され、サザン島がアルバニアに譲渡され、エチオピアに対する植民地請求権も放棄されました。

また、トリエステとその周辺地域はトリエステ自由地域として新たに独立し、その管理は1954年にアメリカ合衆国とイギリスからイタリア政府に引き渡されました。

戦争賠償

条約第74条に基づき、イタリアは戦争賠償金を支払う義務が定められました。賠償金は、ユーゴスラビアに対して約1億2500万ドル、ギリシャに対して約1億500万ドル、ソ連には1億ドル、エチオピアに2500万ドル、アルバニアには500万ドルとされ、全て金本位制に基づいて計算されました。賠償金は7年にわたって商品やサービスでの支払いが求められ、イタリアの経済に大きな影響を与えることとなりました。

軍事条項

平和条約の第47条および第48条では、イタリアにおける軍事力の大幅な制限が規定されています。具体的には、フランスやユーゴスラビアとの国境沿いの要塞を撤去することが義務付けられ、さらに30キロメートル以上の射程を持つ核兵器やミサイル、特定の火器の所有が禁止されました。

これにより、イタリア軍の規模は大きく制限され、陸軍は最大185,000人、海軍は25,000人、空軍も同様に25,000人に制限されました。これらの制限は、後にイタリアがNATOの原加盟国となることである程度緩和されることになります。

政治条項

政治的には、第17条によりイタリア国内でファシズムの組織化が禁止され、政治、軍事、及び半軍事的活動においてもファシズムの resurgence（復活）は阻止されることが明言されました。このように、条約は単なる戦後処理にとどまらず、イタリア社会の再構築にも影響を与えました。

付属書

付属書においては、南チロルに住むドイツ系住民の文化的自治権が認められ、民族的な配慮も含まれていました。

この条約は、イタリアの戦後復興において重要な意味を持ち、国際社会との関係性を再構築するための出発点とも言えるものでした。

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