イタリア共和国憲法

イタリア共和国憲法

イタリア共和国憲法（Costituzione della Repubblica Italiana）は、イタリアの基本法であり、1947年12月27日に公布され、1948年1月1日より施行されました。この憲法は、第二次世界大戦後に制定されたもので、ファシスト政権の崩壊後に新たに築かれた共和制に基づいています。

背景

1946年、戦後のイタリアで実施された国政選挙において、選ばれた議員たちは制憲議会を設立しました。この選挙と同時に行われた国民投票によって、イタリア国民は王政の存続ではなく共和政を選択することを決定し、その結果として新たに憲法が作成されることとなりました。従来の王政の根拠となるアルベルト憲章に対し、イタリア共和国憲法は国民によって制定された民定憲法として成立しました。

特徴

イタリア共和国憲法の特色の一つは、敗戦後の連合国の占領下で、イタリア国民自身の手によって自主的に作成された点です。この憲法には「労働」や「カトリック教会」、「平和」といった基本原則が掲げられており、カトリックの社会教説やマルクス主義の影響を受けています。これは制憲議会選挙において、キリスト教民主党とイタリア社会党が主導権を握ったことに起因しています。

この憲法は純粋に「非ファシズム」であるだけではなく、「反ファシズム」の姿勢を強調しています。そのため、思想の自由は保障されているものの、ファシスト党の再結成は明確に禁止されています。また、国王がファシスト党への支持を示した経緯から、君主制への復帰を目的とする改憲も禁じられ、さらに2002年まではサヴォイア家などの王族に対して厳しい制限が課せられていました。この制限には、選挙権や被選挙権の剥奪、そしてウンベルト2世の嫡男がイタリアに入国することの禁止が含まれていました。

第27条では、人道的扱いが求められる刑罰の方針や、受刑者が再教育を受ける必要性が述べられており、特に「死刑は許されない」と明記されています。これは、刑罰体系が倫理的基準に沿ったものであることを示す重要な条文となっています。

構成

イタリア共和国憲法はその内容をいくつかの編に分けて構成しています。具体的には、次のように分かれています：

1. 第1編　市民の権利および義務
- 第1章：市民関係
- 第2章：倫理・社会関係
- 第3章：経済関係
- 第4章：政治関係

2. 第2編　共和国の機構
- 第1章：議会
- 第2章：共和国大統領
- 第3章：政府
- 第4章：司法
- 第5章：州、県、市町村
- 第6章：憲法の保障

3. 暫定規定および最終規定

この憲法は、1947年12月27日に制定され、エンリコ・デ・ニコラが暫定国家元首として署名を行いました。イタリアの議会や政府機関は、この憲法の枠組みの下で運営されています。

まとめ

イタリア共和国憲法は、戦後の社会構造を基盤に国民の意志を反映させた重要な文書であり、国民の権利と自由を守るための基盤を提供しています。この憲法は、イタリアの共和制における民主主義の原則を実現するための中心的な役割を果たしています。

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