イタリア語版ウィキペディア

イタリア語版ウィキペディア：ヨーロッパを代表する大規模言語版の歴史と特徴

イタリア語版ウィキペディアは、2001年5月11日に誕生しました。それから20年以上が経過した現在、ヨーロッパにおける主要言語版としての地位を確立しており、膨大な情報がイタリア語でアクセス可能です。

規模と特徴

2024年5月1日現在、イタリア語版ウィキペディアは186万項目を超える記事数を誇ります。これはヨーロッパにおいて、英語版、ドイツ語版、スウェーデン語版、フランス語版、オランダ語版、スペイン語版に次ぐ7番目の規模です。

他言語版と比較した際、イタリア語版ウィキペディアの顕著な特徴として、小惑星に関する記事の充実が挙げられます。この分野においては、ポーランド語版、ポルトガル語版、スロバキア語版などとも肩を並べるほど豊富な情報が提供されています。

発展の歴史

イタリア語版ウィキペディアの歴史は、ボットによる大量記事作成と、政治的な抗議活動によって彩られています。

2005年には、スペインの基礎自治体に関する記事をボットが大量に作成したことで、記事数が急増しました。この「Comuni spagnoli作戦」と呼ばれる取り組みは、イタリア語版ウィキペディアの規模拡大に大きく貢献しました。また、フランスのコミューンに関する記事もボットによって大量に作成されています。これらのボットによる記事作成は、記事数増加に大きな役割を果たしましたが、一方で、記事の質に関する議論も引き起こしました。

その後も記事数は右肩上がりで増加し続け、2007年5月に30万項目、2008年10月3日に50万項目、そして2009年12月末には日本語版を抜き、世界で5番目に大きなウィキペディアとなりました。2009年には、イタリアの権威あるジャーナリズム賞であるPremiolinoの新メディア部門を受賞するなど、その貢献が広く認められました。

2010年にはポーランド語版と記事数で競い合い、順位を何度も入れ替える状況が続きました。2011年5月12日には80万項目を突破し、再びポーランド語版を上回りました。

政治的抗議と一時閉鎖

2011年10月、イタリア議会で審議されていた通信傍受法案（DDL intercettazioni）への抗議として、イタリア語版ウィキペディアは一時的に閉鎖されました。この法案は、オンラインコンテンツに対する規制を強化するもので、ウィキペディアの編集方針である「中立性」を著しく阻害すると懸念されました。コミュニティの合意を経て、全ページが閲覧不可となる措置が取られ、全言語版ウィキペディア史上初めて、サイト全体が抗議のために空白状態となりました。ウィキメディア財団はこの決定を公式に支持しました。

その後、抗議は一定の成果を収め、法案は修正されました。サイトは10月6日に再開されました。

2018年には、EUの著作権指令案への抗議として、再び一時的にアクセス制限が行われました。

まとめ

イタリア語版ウィキペディアは、ボットによる大量記事作成、政治的な抗議活動、そしてコミュニティの活発な活動によって発展を遂げてきました。小惑星に関する記事の充実など、独自の特色も持ち合わせています。今後も、イタリア語圏における重要な情報源として、その存在感を増していくと予想されます。

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