イタンキ浜

イタンキ浜（イタンキはま）

北海道室蘭市に位置するイタンキ浜は、チキウ岬の北東に広がる約1.7kmの砂浜海岸です。太平洋に面し、その美しい景観と鳴き砂で知られています。この砂浜は「日本の渚百選」にも選ばれており、その自然の美しさは多くの人々を魅了してきました。

地名の由来

イタンキという地名は、アイヌ語で「椀」を意味する言葉に由来します。海岸線が椀のように見えることから名付けられたという説や、悲しい伝説に由来するという説があります。

伝説によれば、かつて飢饉に見舞われた日高沿岸の人々がこの浜に流れ着き、沖の岩盤を「寄り鯨」と見間違えて焚火をしながら打ち上げられるのを待ちました。しかし、岩盤が打ち上げられることはなく、薪が尽きた人々は大切な椀まで燃やしてしまい、最終的に全員が餓死したと伝えられています。この出来事から、椀を意味する「イタンキ」が浜の名前になったと言われています。

鳴き砂

イタンキ浜は、アイヌの人々に「フムシオタ（音・する・砂浜）」や「ハワノタ（声・する・砂浜）」と呼ばれていました。調査の結果、この砂浜が鳴き砂であることが確認されました。鳴き砂は、砂に含まれる石英が摩擦することで音を出す現象ですが、石英が汚れると音が鳴らなくなります。そのため、1997年に市民団体「室蘭イタンキ浜鳴り砂を守る会」が結成され、海岸の清掃や啓発活動が行われています。また、イタンキ浜は、室蘭を舞台とした映画『モルエラニの霧の中』にも登場しています。

イタンキ浜事件

1954年10月、イタンキ浜では第二次世界大戦中に強制労働を強いられた中国人犠牲者の遺骨発掘調査が行われました。地元の住民の証言などから、125柱もの遺骨が発見され、中には狭い場所に多数の遺骨が重なって発見された例もありました。これらの遺骨は、近くの製鉄所や港湾で働いていた中国人のものと考えられています。戦時中、室蘭には1800名の中国人が連行され、560名以上が亡くなったと記録されています。

大部分の遺骨は中国本土へ返還されましたが、一部は近くの寺などに預けられたままになっています。イタンキ浜を見下ろす高台には、華僑総会や地元有志によって建立された追悼碑があり、過去の歴史を語り継いでいます。

アクセス

鉄道

JR室蘭本線東室蘭駅から徒歩約24分、車で約7分

バス

道南バス東町ターミナルから徒歩約19分、車で約6分

関連項目

日本の渚百選
鳴き砂
日本の海水浴場一覧

外部リンク

イタンキ浜 - おっと!室蘭 室蘭観光情報サイト

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