イティハーサ

イティハーサ

『イティハーサ』は、水樹和佳（現：水樹和佳子）によって描かれた日本のSF・ファンタジー漫画作品です。1987年から1997年まで少女漫画雑誌『ぶ〜け』にて不定期連載され、掲載誌の廃刊に伴い一時中断されましたが、1999年に描き下ろしで完結しました。集英社から単行本化された後、2000年に早川書房から文庫版が刊行されています。

概要

本作は、全4部構成からなる壮大な物語です。

第一部 神名を持つ國 （1986年5月号 - 1987年8月号）
第弍部 神名を持つ者 （1988年6月号 - 1990年6月号）
第参部 不二・天音 （1990年10月号 - 1993年10月号）
第四部 目に見えぬ神々 （1994年4月号 - 1997年7月号）

また、『イティハーサ 水の惑星に生まれて』というタイトルでドラマアルバム化もされましたが、現在は廃盤となっています。

2000年には星雲賞コミック部門を受賞、同年の手塚治虫文化賞にも最終選考作品としてノミネートされています。

ストーリー

物語の舞台は、1万2千年前の古代日本。ここでは「真言告（言霊）」という概念が存在します。「目に見えぬ神々」を信仰する村に住む少年、鷹野（たかや）は、ある日川で捨て子を拾い、透祜（とおこ）と名付けて妹として育てます。7年後、透祜の村は「目に見える神」である威神（いじん）の襲撃を受け、生き残った透祜、鷹野、そして彼らの兄のような存在である青比古（あおひこ）は、同じく「目に見える神」である亞神（あじん）の信徒に助けられます。

威神と亞神は、それぞれ大陸から渡ってきた神々であり、威神は人の悪心や残虐さを引き出して暴威を振るい、亞神はそれに対抗します。亞神一行に加わった鷹野と透祜は武術を磨き、青比古は戦いと世界の真実を追い求めます。戦いの中で、透祜は自分と瓜二つの少女、夭祜（ようこ）に出会います。夭祜は、威神に捕らわれ、透祜を生かすために人を殺し続けていた、透祜の双子の姉妹でした。

物語は、「目に見えぬ神々」と「目に見える神々」（平和を尊ぶ亞神と争いを好む威神）、そしてそれぞれの信徒たちの戦いを通じて、善と悪の葛藤と、その克服を描いていきます。作中には、鳥居がワープの門として登場したり、海に沈んだ超古代文明が描かれたりと、オカルトやスピリチュアルな要素も多く取り入れられています。

登場キャラクター

主要人物

透祜（とおこ）: 主人公の一人。川から流れてきた捨て子で、鷹野に育てられた。巫女としての素質を持つ。威神に囚われた双子の姉妹と殺し合う運命にある。
鷹野（たかや）: 主人公の一人。透祜を拾い、育てる。まっすぐな性格で強い肉体を持つ。透祜を威神から守るため、鍛錬を重ねる。
青比古（あおひこ）: 透祜と鷹野の兄のような存在。冷静で広い視野と深い知識を持つが、将来己を失う運命を抱えており、人と距離を置いている。
桂（かつら）: 亞神の律尊の戒士。威神の襲撃から生き延びた透祜たちを助ける。青比古に衝撃を受け、慕うようになる。
一狼太（いちろうた）: 亞神の律尊の戒士で、桂を慕っている。元は威神の徒で、那智と呼ばれていた。桂が慕う青比古を憎んでいる。
夭祜(よおこ): 透祜の双子の姉妹。威神の戒士。幼いころ誘拐され、悪心を引き出されて育った。人を殺すことに苦しんでいる。

神々

亞神: 目に見える神。善を好み、聖を欲し、平和を望む。
律尊（りつそん）: 桂ら戒士を従え、威神と戦っている。亞神と威神の戦いの謎を追い求めている。
威神: 目に見える神。悪を好み、魔を欲し、破壊を望む。
鬼幽（きゆう）: 多くの威神を束ねる首魁。律尊と同じく戦いの謎を追い求めている。

書籍情報

単行本（豪華版）: 全15巻（集英社、1987年 - 1999年）
ぶ〜けコミックス: 全15巻（集英社、1989年 - 1999年）
ハヤカワ文庫JA: 全7巻（早川書房、2000年）

イメージアルバム

「イティハーサ」～水の惑星に生まれて（フューチャーランド、1998年）

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