イナカー

豊岡市コミュニティバス『イナカー』：地域を繋ぐ、小さなバスの物語

兵庫県豊岡市で運行されているコミュニティバス「イナカー」は、高齢化や人口減少が進む地域社会において、貴重な足として人々の生活を支えています。かつて全但バスが運行していた路線を引き継ぎ、2008年10月1日に豊岡市が日本交通、全但バス、ランドウェイに委託する形で運行を開始しました。現在も、これらの事業者に委託する形で運行が続けられています。

設立の背景と経緯

少子高齢化とマイカー化の進展により、但馬地方ではバス利用者が減少。全但バスは経営合理化を余儀なくされ、路線の休止も検討される状況にありました。この状況を打破するため、豊岡市は、市営バスへの移行を決定。既存路線を継承しつつ、より効率的で住民ニーズに合った公共交通システムの構築を目指しました。その結果誕生したのが、「イナカー」です。

運行内容と特徴

「イナカー」は、自家用自動車（白ナンバー車）を使用した有償運送（80条バス）として運行されています。118kmにおよぶ路線網には、約150箇所の停留所が設置され、11台の車両が運行に就いています。運賃体系は区間制ですが、全但バスと重複する区間では全但バスの運賃に準じます。また、上限運賃制度も導入されており、利用者にとって分かりやすく、利用しやすいシステムとなっています。

運行委託先は、日本交通、全但バス、ランドウェイの3社。路線ごとに委託先が異なり、それぞれの事業者の営業所が車両の配置拠点として機能しています。日本交通本社（城崎）営業所、日本交通豊岡営業所、全但バス豊岡営業所、ランドウェイ本社営業所、ランドウェイ本社営業所竹野バス事務所と、複数の拠点から運行管理が行われています。

「イナカー」の運行日は、月曜日から土曜日まで。日曜日、祝日、年末年始（12月31日～1月3日）は全便運休となります。

主要路線と運行状況

「イナカー」は、豊岡市内各地を網羅する複数の路線を運行しています。主な路線としては、気比三原線、赤石線、竹野海岸線、竹野三原線、床瀬線、三方線、八代線、河野辺線、天谷佐々木スクール線などがあります。これらの路線は、それぞれの地域住民の生活ニーズに合わせて設定されており、地域社会の維持に大きく貢献しています。

一部の路線では、デマンドバス（予約制）や、通学時間帯のみの運行といった特殊な運行形態も採用されています。また、土日祝日の運休や、特定の曜日のみ運行される路線もあり、利用の際は時刻表等で運行状況の確認が必要です。

過去の路線と統合

「イナカー」の運行開始以前は、旧竹野町が独自に町営バスを運行していました。豊岡市への合併後も、この町営バスはしばらく運行が続けられていましたが、現在では「イナカー」の路線に統合されています。この統合により、より効率的な公共交通システムの構築が実現しました。

まとめ

「イナカー」は、高齢化や人口減少が進む地域社会において、住民の生活を支える重要な役割を担っています。運行委託先の事業者と豊岡市の連携、そして利用者のニーズに応える柔軟な運行体制は、地方における公共交通の模範と言えるでしょう。今後も、地域住民の生活の足として、その役割を担い続けることが期待されています。

注記: 運行状況、時刻表などは変更される可能性があります。最新の情報は、豊岡市の公式ウェブサイトや関連資料をご確認ください。

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