イヌイット友愛党

イヌイット友愛党（Inuit Ataqatigiit）は、グリーンランドの政治を牽引する左翼・分離主義政党です。1970年代に急進的な若者を中心に設立され、グリーンランドの完全独立を主要な目標として掲げています。この政党は、グリーンランドがデンマークからの独立を果たすことを目指し、その政治活動を積極的に展開しています。

2005年の総選挙では、有効投票の22.6%を獲得し、グリーンランド議会で7議席を獲得しました。この時点では、議会での影響力は限定的でしたが、2009年の総選挙で大きな転換期を迎えます。この選挙でイヌイット友愛党は44%という圧倒的な得票率を獲得し、議席数を14議席へと倍増させ、第一党へと躍り出ました。この結果は、グリーンランドの政治勢力図を大きく塗り替えるものであり、連立パートナーであった進歩党や民主党の地位を逆転させることとなりました。また、デンマーク国会にも議席を有し、グリーンランドの声を代弁しています。

2008年には、クーピク・クライストが党首に就任し、党の指導にあたりました。そして、2021年の総選挙では、キム・キールセン政権が進めるレアアース採掘計画に対する反対を明確に打ち出し、この問題が選挙の主要な争点となりました。選挙の結果、イヌイット友愛党は12議席を獲得し、進歩党の10議席を上回り、単独で第一党となりました。さらに、同じく採掘計画に反対するナレラク党の4議席と合わせることで、議会過半数を確保し、採掘計画の凍結に大きく貢献しました。

イヌイット友愛党は、グリーンランドの環境保護を重視しており、レアアース採掘計画に対しては、環境汚染の懸念を理由に反対を表明してきました。この姿勢は、グリーンランドの有権者からの支持を集め、選挙での勝利に大きく貢献しました。また、イヌイット友愛党の政策は、グリーンランドの経済発展だけでなく、環境と社会の持続可能性を考慮に入れたものであり、その理念は多くの人々の共感を呼んでいます。

イヌイット友愛党は、グリーンランドの未来を切り開く重要な役割を果たしており、その動向は、グリーンランドの政治と社会に大きな影響を与えています。今後の動向が注目されます。

脚注

公式ウェブサイト（デンマーク語）（グリーンランド語）
Inuit Ataqatigiit Kattuffiat (ataqatigiit) - Facebook

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