イヒニオ・ベレス

イヒニオ・ベレス・カリオン（Higinio Vélez Carrión、1947年 - 2021年5月12日）は、キューバ野球界において傑出した功績を残した指導者です。選手育成、チーム強化、そして国際舞台での活躍を通して、キューバ野球の発展に大きく貢献しました。

サンティアーゴ・デ・クーバ出身のベレスは、マニュエル・ファハルド国立体育大学を卒業後、指導者としてのキャリアをスタートさせました。その手腕はすぐに開花し、1999年から2001年まで、強豪サンティアーゴ・デ・クーバを3年連続で国内リーグ優勝に導くという偉業を達成しました。この実績により、ベレスはキューバ国内で名将としての地位を確立しました。

ベレスの指導者としてのハイライトは、キューバ代表監督としての活躍です。2004年のアテネオリンピックでは、キューバ代表を率いて見事金メダルを獲得。決勝戦ではオーストラリアを破り、キューバ野球の黄金時代を築き上げました。オリンピックでの優勝は、ベレスの指導者としての能力を世界に示すとともに、キューバ国民に大きな喜びと誇りをもたらしました。

また、ベレスはワールド・ベースボール・クラシック（WBC）においても、キューバ代表監督を2度務めました。2006年のWBCでは、決勝で日本に敗れたものの、試合後のインタビューでの振る舞いが話題となりました。「まずは日本におめでとうと言いたい」と、勝者を称えるそのスポーツマンシップあふれる態度は、多くの人々に感銘を与えました。

ベレスは、2007年から2014年にかけてキューバ野球連盟の会長を務め、国内野球の組織運営にも尽力しました。また、パンアメリカンスポーツ機構の副会長を含む国際的な責任も果たし、キューバ野球の国際的な地位向上に貢献しました。そのリーダーシップと行動力は、国内外から高く評価されました。

2021年5月12日、ベレスは新型コロナウイルス感染症（COVID-19）による合併症のため、74歳で逝去しました。その訃報を受け、ミゲル・ディアス＝カネル大統領も自身のツイッターで哀悼の意を表明するなど、キューバ国内で広く追悼されました。

イヒニオ・ベレス・カリオンは、その卓越した指導力とスポーツマンシップ、そして組織運営能力により、キューバ野球界に多大な足跡を残しました。彼の功績は、今後もキューバ野球の歴史の中で語り継がれることでしょう。

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