イプシロンR

イプシロンR：技術介入性と設定判別で名を馳せたパチスロ機

1999年5月、山佐より発売されたパチスロ機『イプシロンR』。本機は、その高い技術介入性と、設定判別可能性によって多くのプレイヤーを魅了したAタイプ機として知られています。一般的なAタイプ機である一方、従来の山佐機種とは一線を画す、類を見ない高い技術介入度が大きな特徴です。

高い技術介入性

『イプシロンR』の技術介入性は、他の機種を圧倒するレベルです。通常時の小役の取りこぼしを最小限に抑えることで、高い回転率を実現しています。

小役目押し: 15枚役であるダイヤや、メイン小役であるベルにおいて、中リールでの取りこぼし発生による配列が採用されています。これにより、フリー打ちに比べて平均5ゲームも多い回転数を達成することができました。
チェリー: チェリーはダイヤに挟まれたものを狙うことで、中段に停止すればリーチ目となります。ボーナス非成立時は必ず上段か下段に停止する制御がされているため、確実に2枚獲得できます。
ビッグボーナス中のリプレイハズシ: これも技術介入要素が高く、約30枚多く獲得できるテクニックが存在しました。

これらの高い技術介入性により、プレイヤーの技量によって出玉に大きな差が生じる仕様になっており、熟練プレイヤーにとっては大きなアドバンテージとなりました。

設定判別の可能性

『イプシロンR』は、設定判別も可能でした。小役の減算値と成立状況を把握することで、理論上は全6段階の設定を判別できたと言われています。この設定判別要素も、プレイヤーの戦略性を高める大きな要素となりました。

多彩な演出

演出面も充実しており、プレイヤーを飽きさせない工夫が凝らされています。

チャンス予告: ヒートやハイブリッドにあった払い出し枚数表示用のセグメントを用いた予告演出が存在しました。3パターンあり、基本的には小役に対応していますが、全点灯からの予告は特に信頼度が高いとされていました。また、「音のみ」パターンも存在し、これらを見極めるのも楽しみの一つでした。
フラグ告知機能: ボーナス確定時は告知音と共に、当時としては最大級の上部パネルバックライトが点灯しました。
リーチ目: 多彩なリーチ目が存在し、スベリ発生時にもチャンスとなる場合があります。これは、左リールの停止位置によってテーブル方式とコントロール方式を切り替える制御によるもので、コントロール方式時は「7と王冠の一直線目」といった豪華な出目も停止させることがありました。この制御は後の機種『タイムクロス』にも発展的に利用されています。
スペシャルテンパイ音: ビッグボーナス絵柄テンパイ時にスペシャルテンパイ音が鳴ると、ハズレは無く、小役（取りこぼしを含む）またはボーナスが確定します。
リプレイ後のゲーム限定リーチ目: リプレイ成立後のゲームに限り、特定のリール制御が用いられ、特別なリーチ目が存在しました。例えば、2リールボーナス絵柄テンパイ型は全てリーチ目でした。

開発者のコメント

開発者は、山佐公式HPのインタビュー（現在は削除済み）で、「ここまで目押し技術で差がつく機種は、もう出すことはない」というコメントを残しています。このコメントからも、『イプシロンR』がいかに技術介入性の高い機種であったかが伺えます。

その他

メインパネルガラス面のコイン投入口の裏には、「TETSUJIN FLASH」という文字が描かれています。これは、開発時のコードネームだったとされています。

まとめ

『イプシロンR』は、高い技術介入性と設定判別機能、そして多彩な演出が魅力の、多くのプレイヤーに記憶されている名機と言えるでしょう。その革新的な技術と、開発者のコメントから伺える意気込みは、パチスロの歴史においても特筆すべきものと言えるでしょう。設定判別や、技術介入による出玉への影響など、プレイヤーの戦略性も大きく問われる機種であったため、熟練者から初心者まで幅広いプレイヤーに人気を博しました。

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