イボイボナメクジ

イボイボナメクジ（Granulilimax fuscicornis）

概要

イボイボナメクジは、ホソアシヒダナメクジ科に属する陸産貝類で、その独特の外見が特徴的な肉食性の小型ナメクジです。日本では本州、四国、九州、沖縄など様々な地域に生息し、特に香川県がタイプ産地として知られています。この種の名前は、彼らの背面に見られる大小の顆粒状突起からきています。

分布

イボイボナメクジは、主に日本の本州の西側、御蔵島、四国の香川県、九州、沖縄などで観察されています。広範囲な分布が報告されていますが、隠蔽種が含まれている可能性があり、本種がどこにどれだけ存在しているのかは完全には解明されていません。

形態

外見

イボイボナメクジの体長は通常25～35mmですが、収縮時の標本では15～25mm、幅は2.5～3mmです。彼らには貝殻がなく、背中は柔らかな外套で覆われ、細密な顆粒が表面を覆っています。体の色は黄褐色で、背中には黒褐色の縦線が特徴的です。この縦線は前後を繋ぎ、リング状の模様を形成します。

触角は2対あり、特に大触角は黒く、眼があります。小触角は二股になっており、歩行中は地面に近い小触角を使って周囲を探ります。

内部形態

内部の生殖器に関しては、ホソアシヒダナメクジ科の他の種と異なる点が見られます。通常のナメクジは雌雄の生殖孔が別々に存在しますが、イボイボナメクジは共通の開口部を持っているとされています。これに関する詳細な研究はまだ不十分です。

生態

環境

このナメクジは多様な環境に適応しており、主に地面や樹上で見られます。動きは遅く、乾燥や寒冷期には葉の下や石の下に隠れていることが多いです。

食性

彼らは肉食性であり、他の陸産貝類を主に捕食します。長い吻を使って、殻口に挿入して肉を食べる方法で知られています。しかし、消化液の注入や溶かした餌を吸う行動については疑問視されています。

繁殖

繁殖に関してはまだ多くが分かっておらず、観察された例では愛知県の個体が5～6月に産卵し、卵は無色透明で直径1.5mmほどです。孵化までに約3週間かかるとされています。

分類と歴史

イボイボナメクジは1981年に初めて発見され、その後多くの個体が集められた結果、1989年に新属新種として記載されました。分類の過程では、ホソアシヒダナメクジ科に移されるまでにさまざまな議論がありました。

日本における類似種

日本国内には、いくつかの類似種が存在します。特に福井県や沖縄県には、外見が似た種が記録されていますが、正確な区別は生殖器の解剖によらなければ難しいとされています。

保全状態

イボイボナメクジは、環境省のレッドリストで絶滅危惧II類に指定されています。特に香川県や兵庫県などではその生息数は減少傾向にあり、保護が必要とされています。

この独特なナメクジは、未解明な点が多く残っているため、さらなる研究が求められています。

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