イランと北朝鮮の関係

イランと北朝鮮の関係は、両国の国営通信社が前向きであると表現しているものの、実際には複雑な側面を抱えています。1979年のイラン革命を機に国交を樹立して以来、両国は軍事、核開発、文化など多岐にわたる分野で協力関係を深めてきました。

歴史的背景

両国間の協力関係は、1980年10月に北朝鮮がイラン・イラク戦争でイランを支援したことをきっかけに始まりました。この支援により、イラクは北朝鮮と断交しています。当時、北朝鮮は共産圏とイラン間の兵器取引の仲介役を務め、自国製の兵器をイランに売却することで、軍事的な協力関係を築きました。イランの弾道ミサイル「シャハブ3」は、北朝鮮の「ノドン」を基に開発されたと考えられています。

教育、科学、文化分野での協力も進められ、特にイランの核開発計画における両国の協力は国際社会から強い懸念を抱かれてきました。米国は、両国間の兵器取引を注視し、警戒を強めています。近年では、北朝鮮がイランにミサイルや核技術を売却しているとの見方が依然として存在します。

しかし、イラン側は、2011年に国防大臣が「イランは防衛産業において完全に自給自足を達成しており、他国の協力を必要としていない」と述べ、両国間のミサイル技術取引を否定しています。2012年には、外務省報道官も核やミサイルでの協力関係を否定しています。興味深い点として、イランが2009年に人工衛星の自国打ち上げを成功させており、北朝鮮よりも先に宇宙開発で成果を上げています。

ジョージ・W・ブッシュ前米大統領が唱えた「悪の枢軸」（イラクを除く）の2国として、イランと北朝鮮の関係は、依然として多くの懸念を生み続けています。

核開発をめぐる動き

2013年2月12日の北朝鮮による核実験後、イラン外務省報道官は「いかなる国も核の軍事利用を行ってはならない」と述べ、間接的に北朝鮮を批判しました。しかし、その後、イラン人科学者が北朝鮮の核実験に立ち会った可能性が浮上しています。報道によれば、イラン側が小型核弾頭開発を打診し、対価として数千万ドル相当の中国人民元を提供したとされています。

2017年 1月28日にイランが発射した中距離弾道ミサイルは、北朝鮮のムスダンを基にしていると見られています。これらの事実は、両国間の軍事的なつながりが依然として強く、その実態は複雑であることを示唆しています。

その他の協力関係

イランの元情報通信技術大臣であるモハンマドハサン・ナーミーは、北朝鮮の金日成総合大学で博士号を取得しています。この事実は、教育分野における両国間の繋がりを示す一例です。

外交使節

駐イラン北朝鮮大使として、過去に以下の人物が任命されています。
キム・ジョンナム（2000年11月7日任命）
キム・チャンリョン（2004年1月8日任命）
趙仁徹（チョ・インチョル、2010年5月22日任命）
姜三賢（カン・サミョン、2014年12月18日任命）

駐北朝鮮イラン大使としては、以下のような人物が任命されています。
ハサン・ターヘリヤーン（1992～1993年）
アリーアスガル・ナハーヴァンディヤーン
モハンマド・ガンジードゥースト（2001年2月23日まで）
ハサン・ターヘリヤーン（再任、2002年）
ジャラーロッディーン・ナミーニー・ミヤーンジー
モルテザー・モラーディヤーン（2008～2012年）
マンスール・チャーヴォシー（2012～2016年）
セイイェド・モフセン・エマーディー（2017年～）

その他の関係者

リ・ウォンイル：朝鮮－イラン友好協会会長
アヌーシーラヴァーン・モフセニー・バンドペイ：イラン朝鮮親善議員団委員長
* ハサン・モフタシャミー・ホジャステフ：元駐朝UNFPA代表（2018～2021年）のイラン人医師

結論

イランと北朝鮮の関係は、単なる協力関係にとどまらず、戦略的な連携や技術協力、そして両国が共有する反米意識など、複雑な要素が絡み合っています。両国間の協力関係は、国際社会にとって無視できない重要な問題であり、今後の両国の動向が注目されます。

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