イラン進駐 (1941年)

第二次世界大戦中のイラン進駐

第二次世界大戦中の1941年、イギリスとソビエト連邦はイランに侵攻し、数週間の間にその制圧を完了しました。この作戦は「カウンタナンス作戦」として知られており、安全な油田の確保とソビエト連邦への補給線の確立を目的としていました。イランは、戦略的に重要な位置にあったため、両国にとって不可欠な存在でした。

背景

戦争前のイランでは、イギリスのアングロ・イラニアン石油会社が圧倒的な権限を持っており、油田に関する価格決定はイギリス側による一方的なものでした。地理的にはイランはイギリス領インドとソビエト連邦に挟まれており、イランのレザー・シャーはアメリカ合衆国やナチス・ドイツに接近を試みましたが、特にドイツに近づくことがありました。ところが1941年6月、ドイツがソビエトを攻撃し、これに対抗するためイギリスとソビエトは連合国として協力関係を築くことになりました。イランはこのコンテキストにおいて、重要な拠点となったのです。

当時、アーバーダーンの油田は連合国にとって非常に貴重で、800万トンもの石油を生産していました。ナチスにこの資源が取られることをイギリスは恐れ、ソビエトもまたイランがコーカサス地方の隣に位置しているため、戦略的に重要視していました。加えて、南方のイラン経由での輸送が有望であることがわかり、連合国はイランに対して様々な圧力をかけていきます。

侵攻

侵攻作戦は1941年8月25日に始まりました。イギリス軍は南から、ソビエト軍は北から同時に進軍し、迅速にイラン軍を圧倒していきました。イギリス軍はエドワード・クイナン中将の指揮の下、複数のインド部隊を展開し、一方ソビエト軍はドミトリー・コズロフ中将の指揮のもと、北から進軍しました。イラン軍は9個師団を動員して反抗しましたが、戦術的には劣勢に立たざるを得ずです。

侵攻から数日後には、アーバーダーンでの抵抗が無くなると、各地で連合国の軍が速やかに制圧を進めました。レザー・シャーはアメリカに救援を求めましたが、結果として無視され、イランは連合国によってほぼ制圧されます。特にテヘランが陥落した後、国は二分され、脱ドイツ化が進行しました。

戦後の影響

イランの抗戦も虚しく、最終的にはイギリスとソビエトによって効果的に制圧されることになり、石油産業は連合国に支配されました。1941年9月16日にレザー・シャーは退位し、息子のモハンマド・レザー・シャーが皇位を継承しました。戦後のイランは、連合国との契約によって経済支援も受けることになりますが、ソビエトの影響が残り、その後の国際関係に深く影響を及ぼすこととなりました。特に1945年以降、ソビエト軍は撤収を拒否し、イラン北西部に親ソ政権が発足する事態も起きました。

最終的にイラン進駐は、イランの外交政策や政治に大きな影響を与え、その後の歴史にも影を落とす結果となりました。連合国はその後の国際情勢においても、イランの位置と資源を巡る駆け引きを続けていくことになります。

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