イリ・ナスターゼ

イリ・ナスターゼについて

イリ・ナスターゼ（Ilie Năstase）は、1946年7月19日にルーマニア・ブカレストで生まれた男子プロテニス選手です。彼は1972年の全米オープンと1973年の全仏オープンで男子シングルスを制し、ルーマニアのテニス選手として初めて4大大会を制した人物です。ナスターゼは、体操選手のナディア・コマネチと共にルーマニアのスポーツ界で最も著名なアスリートの一人として広く知られています。彼は1973年には世界ランキング1位に輝き、キャリアを通じてシングルスで64勝、ダブルスで45勝を達成しました。

選手キャリアの初期

ナスターゼのテニスキャリアが注目を集めたのは1966年、全仏選手権の男子ダブルス決勝で、7歳年上の親友であるイオン・ティリアックとコンビを組んだことからでした。この年、彼らは準優勝を遂げ、その後ティリアックとの連携により、ナスターゼはルーマニアデビスカップチームとして成功を収めました。1970年、二人は全仏オープンダブルスで優勝し、ルーマニア男子テニスの新時代の幕開けを象徴しました。

4大大会での成功

ナスターゼは1971年に初めて全仏オープンの男子シングルス決勝に進出しますが、ヤン・コデシュに敗れました。翌1972年にはウィンブルドンでも決勝に進出しましたが、スタン・スミスに惜敗。続く全米オープンではアーサー・アッシュをフルセットで下し、ついに4大大会制覇を果たしました。1973年、再び全仏オープンの決勝に挑み、ニコラ・ピリッチを破って2度目の優勝を達成。その年、ナスターゼは世界ランキング1位を記録しました。1976年のウィンブルドン決勝でも再びボルグと対戦し、再度の準優勝に留まりました。

ダブルスと個性的なキャラクター

ナスターゼはダブルスでも成功を収め、4大大会で男子ダブルスを3度、混合ダブルスを2度制しました。その豪華なプレイスタイルと個性で知られ、彼は“Bucharest Buffoon”（ブカレストの道化師）としても名を馳せ、コート上での振る舞いやコートマナーの問題から「Nasty Nastase」とも呼ばれました。試合中にはさまざまな antics を披露し、時には暴言を吐いたりすることもありましたが、本人はそのスタイルがプレイの向上に寄与すると語っていました。

引退後の活動

ナスターゼは1991年に国際テニス殿堂入りを果たした後も、様々な活動を続けました。彼は1996年にブカレストの市長選に立候補しましたが、落選。2017年にはルーマニア代表監督として参加したフェドカップでの発言により、一時的に国際大会への出場が禁止される事態に陥りました。

まとめ

多彩で挑発的なスタイルのテニスプレーヤー、イリ・ナスターゼはその才能でルーマニアを4大大会制覇の舞台へと導き、テニス界に多くの伝説を残した選手です。彼の個性的なキャラクターと才能は、今なお多くのファンに愛されています。

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