イルハム・ザキエフ

イルハム・ザキエフ：逆境を乗り越え、柔道で世界を魅了する英雄

イルハム・ザキエフ（Ilham Zakiyev、1980年3月3日 - ）は、アゼルバイジャンのスムガイト出身の柔道選手。100kg超級の選手として知られています。

生い立ちと不慮の事故

ザキエフは、兄の影響で10歳からレスリングを始め、15歳で柔道に転向しました。柔道では、ワールドユースゲームズの国内予選で優勝するなど、その才能を発揮していましたが、18歳で軍務に服することになります。1999年2月、アルメニアとの紛争地であるフィズリ県で任務に就いていた際、敵の銃弾がこめかみを直撃し、視力を失うという悲劇に見舞われました。この事故により、ザキエフの人生は一変します。

視覚障害者柔道への挑戦

絶望の淵に立たされたザキエフでしたが、青少年・スポーツ省の高官の尽力により、視覚障害者柔道に取り組むことになります。新たな道に進むことを決意したザキエフは、猛練習を重ね、再び畳の上に立つことを目指します。

パラリンピックでの輝かしい実績

ザキエフの努力は実を結び、2004年アテネパラリンピックに出場。100kg超級で見事金メダルを獲得し、世界を驚かせました。その後も、2008年北京パラリンピックで金メダルを獲得し、2連覇を達成。名実ともに世界のトップ選手としての地位を確立しました。

2011年のIBSA世界大会では決勝で正木健人に敗れましたが、2012年ロンドンパラリンピックでは準決勝で再び正木に敗れ、3位に終わりました。3連覇はなりませんでしたが、銅メダルを獲得しました。

2015年には、地元アゼルバイジャンのバクーで開催されたヨーロッパ競技大会視覚障害者部門で優勝。2016年リオデジャネイロパラリンピックでは5位という結果に終わりました。

2021年、東京パラリンピックに出場。準々決勝で敗れるも、敗者復活戦を勝ち上がり、銅メダルを獲得しました。幾多の困難を乗り越え、再び表彰台に立つザキエフの姿は、多くの人々に感動を与えました。

IJF殿堂入り

2018年には、バクーで開催された世界選手権の際に、IJF（国際柔道連盟）の殿堂入りを果たしました。これは、ザキエフの長年にわたる柔道界への貢献と、その輝かしい実績が評価されたものです。

主な戦歴

2004年 - アテネパラリンピック 優勝
2005年 - IBSAヨーロッパ選手権 優勝
2008年 - 北京パラリンピック 優勝
2009年 - IBSAヨーロッパ選手権 優勝
2011年 - IBSA世界大会 2位
2012年 - ロンドンパラリンピック 3位
2013年 - IBSAヨーロッパ選手権 優勝
2015年 - ヨーロッパ競技大会視覚障害者部門 優勝
2015年 - IBSAヨーロッパ選手権 優勝
2016年 - リオデジャネイロパラリンピック 5位
2017年 - IBSAヨーロッパ選手権 優勝
2021年 - 東京パラリンピック 3位

イルハム・ザキエフは、逆境を乗り越え、柔道を通じて世界に勇気と感動を与え続ける真の英雄です。

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