インキトラップ

インキトラップとは

インキトラップは、フォントデザインにおける特殊な処理の一つです。特に小サイズのフォントを使用する際に、文字の角の内側を意図的に削り、細くする加工を指します。これは、印刷時にインクが過剰に滲み出るのを防ぐことを目的としています。

日本語では、「墨とり」「隅切り」「切り込み」などと呼ばれることがありますが、一般的な名称として定着しているものはありません。

インキトラップの仕組み

インキトラップを施すことで、文字の角や細部のインク溜まりを抑制し、印刷後の文字がシャープな印象になるように調整します。本来、インキトラップがない場合、インクが紙面に過剰に染み出し、文字の輪郭がぼやけてしまうことがあります。特に、吸収性の高い紙や品質の低い紙を使用する場合、この現象が顕著に現れます。

インキトラップはこのインクの滲みを計算に入れ、デザインの段階で予めインクが溜まる部分を削っておくことで、印刷後の文字の視認性を高める役割を果たします。

インキトラップの適用範囲

インキトラップは、主に新聞、電話帳、クラシファイド広告など、品質が必ずしも高くない紙に小さな文字を印刷する際に利用されてきました。これらの印刷物では、インクの滲みが発生しやすく、インキトラップの効果が発揮されます。

近年では、印刷技術の向上により、インクの滲みを抑制することが可能になったため、インキトラップの本来の目的は薄れつつあります。しかし、デザイン的な要素として、意図的にインキトラップを施したフォントも存在します。特にディスプレイ上では、インキトラップは単なるデザインとして認識されます。

インキトラップが施されたフォントの例

インキトラップは、特定のフォントに限定されるものではありませんが、以下のようなフォントに施されていることがあります。

Kurier
Bell Centennial
* Tang

これらのフォントは、インキトラップによって、小さいサイズでも読みやすいように設計されています。

まとめ

インキトラップは、かつては印刷技術の制約を克服するための重要な技術でしたが、現代ではデザイン要素としての側面が強くなっています。しかし、その背景にある印刷の知識は、フォントデザインを理解する上で重要な要素と言えるでしょう。

もう一度検索