インシテミル

インシテミル

『インシテミル』は、米澤穂信による日本の推理小説で、クローズド・サークルを舞台にしたデスゲームを主題にしています。この作品では、12人の参加者が「暗鬼館」と呼ばれる実験場で、監視付きの隔離生活を送りながら、時給11万2000円を得るために向き合うことになります。しかし、その実態は参加者同士が報酬を得るために殺し合うという恐ろしいものでした。

物語の背景

物語のはじまりは、年齢や性別の異なる12人の男女が、何も知らないまま「暗鬼館」という場所に集まるシーンからです。彼らは、人文科学的な実験の被験者として選ばれ、実験期間中の行動はすべて記録され、随時監視されることになります。参加者は、一度始まったら止めることができないカオスの中で、さまざまな凶器を使い、時には互いに疑念を抱きながら生き残りをかけたサバイバルを余儀なくされます。

実験の参加者たちの間には、報酬を得るための心理戦が繰り広げられます。最初は何もしないことで報酬を得られる暗黙の了解が存在しましたが、次第に疑心暗鬼が広がり、参加者同士の信頼が崩れ始めるのです。物語のクライマックスでは、参加者の一人が殺され、さらに連鎖的に殺人が発生する中で、本当の犯人を突き止めることが求められます。

主な登場人物

この物語には、多くの個性的なキャラクターが登場します。

• - 結城理久彦（ゆうき りくひこ）：本作の主人公で、大学生。楽天的でありながら、状況に応じて鋭い洞察力を持ち合わせています。実験に応募した動機は車の購入資金。
• - 須和名祥子（すわな しょうこ）：結城のアルバイト先で出会う女性で、実験のヒロイン。上品でありながら、神秘的な一面を秘めています。
• - 大迫雄大（おおさこ ゆうだい）：リーダーシップを発揮する学生。参加者の一人であり、結婚資金を稼ぐために実験に応募。
• - 岩井壮助（いわい そうすけ）：金髪の若者。恐怖感が強く、参加者の動きに敏感。実験の中で大きなアクションを起こすことになります。

殺人ゲームのルール

暗鬼館の中には厳格なルールが存在し、参加者たちは個室で生活し、夜間は外に出ることが禁止されています。また、事件が起きた際には、解決に向けての議論が必要になります。グループによる多数決によって犯人を決定するため、参加者同士の連携や裏切りが物語をより複雑にします。

このような背景から、物語全体はサスペンスやミステリーに満ち、最後の結末まで緊張感を保ちます。実験が終わった後の結城のもとには新たな実験の誘いが待っており、次々と続く物語の余韻に浸ることができます。

映画化された作品

小説『インシテミル』は、2010年に映画化されています。映画版は原作とは異なる点がいくつかあり、参加者が10人に変更されているほか、特定のキャラクター設定も異なります。この映画は、日本国内外で評価を受け、興行収入や観客動員数でも成功を収めました。キャッチコピーやプロモーション活動も行われ、話題となりました。

結論

『インシテミル』は、心理戦やサスペンスの要素が巧みに組み合わされたミステリ作品であり、多様なキャラクターとその動きが物語をさらに引き立てています。米澤穂信の作品を通じて、読者は人間の心理や行動の深層に触れることができ、最後まで目が離せない展開が楽しめます。

もう一度検索