インターコミュニケーションズ

株式会社インターコミュニケーションズ（Inter Communications Inc.）は、かつて東京都中野区に本社を構えていた日本のレコード会社です。代表取締役は是安浩二氏が務めていました。

その歴史は1993年11月24日にジャランインターナショナルとして始まりました。設立当初から、同社は主にボーイズラブ（BL）ジャンルの作品、特に小説や漫画を原作とするドラマCDの企画、制作、出版、販売を手がけました。当時としては珍しい分野に積極的に取り組み、BLドラマCD市場における草分け的存在として、その地位を確立していきました。黎明期において、多くのファンに音声作品という新たな楽しみを提供しました。

1997年4月1日、会社は商号を株式会社インターコミュニケーションズに変更しました。社名変更後もコア事業としてCDの企画・制作・販売を継続しましたが、事業領域をさらに拡大しました。具体的には、海外映画の日本語吹替版の制作や、声優などが参加するファン向けのイベント企画・運営など、多角的な展開を見せました。これにより、オーディオコンテンツにとどまらず、エンターテインメント全般に関わる企業へと成長を目指しました。

同社の事業の柱は、設立以来一貫してドラマCDでした。特にボーイズラブ分野での実績は特筆すべきもので、Misty Label、Pastel Label、Vivid Label、Lapis Labelといった複数の専門レーベルを展開し、様々な作家の原作をドラマCD化しました。これにより、熱心なBLファンから厚い支持を得ました。代表的なBLドラマCDシリーズには、「お金がないっ」、「DEADLOCK」、「美しいこと」、「異国色恋浪漫譚」、「キレパパ。」、「ダブルコール」、「G線上の猫」、「恋する暴君」など、数多くの人気作品があります。また、BL以外のジャンルにも積極的に挑戦し、冬目景による漫画「羊のうた」や、「JIHAI」シリーズ、「キスとDO-JIN!」シリーズなど、幅広いリスナーに向けた作品も手掛けていました。

CD事業以外では、インターネットラジオ番組の制作・配信も行い、パーソナリティを務める声優に関連したCDやグッズの販売にも力を入れていました。特に「下野紘&梶裕貴のRadio Misty」などは、ファンに広く認知された番組でした。

しかし、経済状況の変化や市場競争の激化といった要因により、同社は経営の継続が困難となり、2010年11月末をもって倒産し、約17年間の歴史に幕を閉じました。ボーイズラブドラマCDの先駆けとして、多くの個性的な作品を生み出した同社の活動は、このジャンルの発展において重要な役割を果たしました。その作品群は、今も多くのリスナーによって記憶されています。

主な発売タイトル（一部抜粋）

ボーイズラブ

Misty Label: 『言葉なんていらない／息もできないくらい』、『透過性恋愛装置』、『牛泥棒』、『美麗なこと／愛おしいこと』など
Pastel Label: 『ごはんを食べよう』シリーズ、『DOUBLE CALL』シリーズ、『青の軌跡』、『異国色恋浪漫譚』シリーズなど
Vivid Label: 『お金がないっ』シリーズ、『無敵なぼくら』シリーズ、『DEADLOCK』、『凍る灼熱』シリーズなど
Lapis Label: 『パール』シリーズ、『スキャンダル』シリーズ、『いとしのテディ・ボーイ』、『極愛／極艶』など

ボーイズラブ以外

Dolce Label: 『キスとDO-JIN!』シリーズ、『JIHAI』シリーズ、『獏-BAKU-』シリーズ、『戦国武友伝』シリーズなど
その他: 『羊のうた』、『KIRAI』など

ラジオ関連

* 『下野紘&梶裕貴のRadio Misty』など

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