インテリジェンス・サイクル

インテリジェンス・サイクルとは

インテリジェンス・サイクル（英: Intelligence cycle）は、政策決定者の要求に応じて情報を収集し、その情報を分析して行動決定に必要な情報を生み出す一連のプロセスを指します。このサイクルは、情報戦における情報優位性を獲得するために不可欠な活動です。

情報活動とは

情報活動は、情報の優位性を確保する目的で行われます。ここでの「情報優位性」とは、他者と比較して自らの情報活動が主導的役割を果たすことを意味します。この優位性は、他国の情報機関との対立により生じます。情報優位性を得るためには、きちんとした情報の収集と処理が必要です。

「情報」という用語は、単なる情報資料（観察や報告、噂などの素材）の収集だけでなく、それらを適切に処理し、評価して得られる知見を指します。情報の収集と処理を専門に行う機関は、情報機関（Collection agency）と呼ばれます。

情報活動サイクルの五段階

インテリジェンス・サイクルは、以下の五段階からなります。これにより情報資料が「情報」に転換されます。
1. 情報の要求
2. 情報資料の収集
3. 情報資料の処理
4. 情報の作成
5. 情報の配布

1. 情報の要求

この段階では、情報活動がどのように進められるかの方針が決定され、所要情報が明確にされます。特定の判断に必要な要素は「情報主要素（Essential Element of Information, EEI）」と呼ばれます。また、情報がどうやって収集されるかを計画する「情報収集計画（Intelligence collection plan）」が策定されます。この計画は、作戦計画を支援する情報別紙（Intelligence annex）や公式記録となる情報日誌（Intelligence journal）を用いて詳細に設計されます。

2. 情報資料の収集

情報の収集は、公式または非公式の情報源を通じて行われます。収集の手段には、人的要素が介入するヒューミント（HUMINT）も含まれます。ヒューミントでは情報員が活動し、彼らが集めた情報資料は次の評価段階へと進みます。ここでは、収集した無加工の情報資料を報告する「情報資料報告（Information report）」が重要な役割を果たします。

3. 情報資料の評価

収集した情報を評価する過程では、情報の信用性や正確性を考慮します。情報源の信頼性に基づいて、情報資料自体の正確性を検証することが求められます。この評価は、各情報源に対して独立して行われ、信頼性や正確性を確保するための基盤となります。

4. 情報の分析

評価された情報資料に基づき、推論を進めて情報を判定します。この段階では、収集した情報以外にも過去のデータベースに蓄積されている情報を考慮に入れます。異なる情報資料を組み合わせて照合することで、より正確な情報を引き出します。

5. 情報の配布

分析を経て得られた情報は、初期の要求に応じて加工され、必要な関係者に提供されます。この際には報告形式に注意が払われ、情報の伝達が適切に行われることが求められます。通常の情報報告と技術的な情報に特化した特技情報報告があり、目的に応じて使い分けられます。

まとめ

インテリジェンス・サイクルは、情報収集から分析、配布に至るまでの重要な過程を示しています。本サイクルは、効果的な政策決定や情報戦において欠かせない手法であり、情報活動を支える基盤となります。

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