インド準備銀行

インド準備銀行（RBI）の概要

インド準備銀行（Reserve Bank of India, RBI）は、インドの中央銀行であり、国の金融システムの中核を担っています。インドの中央銀行という名称を持つ他の金融機関（例えば、Central Bank of India）とは異なり、RBIは通貨政策の実施、金融システムの安定化、インフレ抑制など、国家経済に不可欠な役割を果たしています。

歴史

RBIの歴史は、植民地時代の銀行に遡ります。当初は英国資本の影響を強く受けていましたが、第二次世界大戦後、国有化されました。しかし、国有化後も外国資本によるインドへの民間投資が大部分を占めていた時期がありました。2005年には、金融包摂を主要な政策課題として取り上げ、銀行口座を持たない人々への金融サービス提供を促進しました。2006年には顧客サービス部門を設立し、サービス向上に努めています。

設立の背景

20世紀初頭、インドは通貨安と貿易赤字に苦しみ、多くの市中銀行が倒産しました。このような状況下で、1921年には英国政府が3つの省立銀行を合併してImperial Bank of India（IBI）を設立しました。これは事実上の中央銀行としての役割を担いましたが、シティ・オブ・ロンドンの影響下にあり、活動に制約がありました。1926年には、ヒルトン・ヤング委員会がRBI設立を勧告し、1934年のインド準備銀行法に基づいて、1935年に民間銀行としてRBIが設立されました。その後、1949年に国有化され、現在に至っています。

金融包摂政策

RBIは、金融包摂（Financial Inclusion）を重要な政策課題として位置づけています。これは、銀行口座を持たない人々、特に農村部や貧困層への金融サービス提供を意味します。2005年には、すべての市中銀行に基本貯蓄口座の提供を勧告し、金融サービスへのアクセスを拡大しました。この政策は、バングラデシュのグラミン銀行が展開するマイクロファイナンスに通じる部分があり、インド地域が抱える金融課題への長期的な取り組みの一環と言えます。

組織と運営

RBIの最高意思決定機関は中央取締役会です。取締役はインド政府によって任命され、経済学者、銀行家、実業家など、さまざまな分野の専門家で構成されています。RBIは、インド全域に支店網を展開し、各州の首都を中心に、全国的な金融ネットワークを構築しています。

現在の総裁

現在の総裁（第25代）は、財務官僚出身のシャクティカンタ・ダス氏です。2018年に就任し、インド経済の安定と成長に貢献しています。

RBIの役割

インド準備銀行設置法に基づき、RBIは以下のような役割を担っています。

通貨の発行と管理
金融システムの安定化
インフレ抑制
通貨政策の実施状況の監視と公表
信用政策の実施状況の監視と公表
物価安定化と生産部門への資金融資
金融システムの検査
外国為替管理
政府の銀行としての機能
銀行の銀行としての機能
* 国債の保管と交換

金融政策とレート

RBIは、政策金利、レポ・レート、リバースレポ・レートなどの金融政策ツールを用いて、経済の安定化を図っています。また、現金比率や法定流動性比率などの規制を通じて、金融機関の健全性を維持しています。

国際協力

RBIは、国際的な金融機関や他国の中央銀行とも連携し、グローバルな金融システムの安定に貢献しています。また、新興国における金融政策の実施や金融包摂の推進においても、リーダーシップを発揮しています。

まとめ

インド準備銀行は、インドの経済発展において不可欠な役割を果たしています。その歴史は、植民地時代から現代まで、インドの経済状況とともに変化してきました。金融包摂政策や金融システムの安定化を通じて、インドの経済成長に貢献し、これからもその役割はますます重要になっていくでしょう。

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