インフォデミック

インフォデミックとは

インフォデミック（infodemic）は、ソーシャルメディアなどを通じて、不確かで誤った情報と、正しい情報が同時に急増する社会現象を指します。この言葉は、「情報」を意味する "インフォメーション" という単語と、感染症などが特定の地域や集団内で急増する様子を表す "エピデミック" の組み合わせから生まれました。

誕生の背景

この現象が特に注目を集めるようになったのは、2019年末からの新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の世界的な広がりによるものです。ウイルスの情報が日々変化する中で、人々は正確な情報を求めていましたが、それと同時に誤った情報や噂が飛び交い、混乱を招くこととなりました。

WHOの宣言

2020年2月、世界保健機関（WHO）は、新型コロナウイルス（SARS-CoV-2）に関する情報が過剰に流布される状況を踏まえて、「大量情報伝染（massive infodemic）」と称する現象を宣言しました。この発表では、信頼できる情報源からのガイダンスが不足し、混乱を招く情報が氾濫していることに懸念を示しました。

WHOは、現在の状況において正確な情報をどのように見分け、必要な知識を得るかが重要であると強調しています。この問題に取り組むためには、科学的なアプローチが求められ、情報の正確性を検証する力が不可欠です。

インフォデミオロジーの重要性

WHOはまた、インフォデミックに関する研究「infodemiology」についても言及しています。これは、インフォデミックに対処するための科学を指し、正確な情報の流通を促進するために、多様なアプローチを研究するものです。G. Eysenbachが以前に提唱した定義を元に、より焦点を当てた研究が続けられています。

インフォデミックの影響

インフォデミックは、公共の健康や社会的な行動に深刻な影響を与えます。不正確な情報が拡散することで、人々が誤った判断をしかねず、ワクチン接種やマスク着用などの基本的な感染症対策に対する信頼を失う可能性があります。また、陰謀論の拡散もこの状況を助長し、社会的分断を引き起こす要因となり得ます。このような情報の流れは、特に脆弱な立場にある人々にとって危険です。

結論

インフォデミックは、情報社会の新たな課題として浮上しています。この現象に対処するためには、信頼できる情報源からの情報を積極的に活用し、誤情報に惑わされない意識が重要です。また、教育と啓発活動を通じて、情報リテラシーを高める努力が求められています。

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