イン・ジ・イースト

イン・ジ・イースト（Priest in the East / Unleashed in the East）

ブリティッシュ・ヘヴィメタルの重鎮、ジューダス・プリーストにとって初の公式ライブレコーディング作品として、1979年に発表されました。ワールドワイド盤のタイトルは『Unleashed in the East』としてリリースされています。

制作背景と録音

本作は、1979年に行った二度目の日本公演、特に東京での熱狂的なパフォーマンスをライブレコーディングした音源を中心に構成されています。しかし、録音時のボーカリスト、ロブ・ハルフォードは滞在先のホテルの空調が原因で喉のコンディションが万全ではなかったとされ、一部のボーカルパートは後日、イングランドのスタートリング・スタジオでオーバーダビング（再録音）されました。このスタジオは、ビートルズのドラマーであるリンゴ・スターが所有していたことでも知られています。ミキシングも同スタジオで行われました。エンジニアはニール・カーノン、レコーディング・エンジニアは鈴木義弘が担当しています。

選曲と評価

収録曲は、バンドが当時までに発表していた5枚のスタジオアルバムの中から、デビュー作である『ロッカ・ローラ』（Rocka Rolla）を除く『運命の翼』（Sad Wings of Destiny）から『殺人機械』（Killing Machine）までの4作品から幅広く選ばれています。初期の代表曲やライブでの定番曲が多数含まれており、彼らのライブバンドとしての実力と、当時の充実した演奏を捉えた作品として高く評価されています。

商業的にも成功を収め、特にアメリカ合衆国ではバンドにとって初めてビルボードの主要チャートであるBillboard 200でトップ100入り（最高70位）を果たしました。これは、彼らの国際的な知名度を大きく高めるきっかけの一つとなりました。

フォーマットの変遷

日本での初回盤は、9曲を収録したLPレコードと、ボーナス的に4曲を追加収録したEPというユニークな2枚組仕様で発売されました。この日本盤EPに収録されていた4曲は、当時その他の国では入手困難でした。

しかし、2001年に実施されたデジタルリマスター盤のリリース以降は、日本盤EPの収録曲を含む全13曲構成が国際的な標準フォーマットとなりました。これに伴い、日本盤CDの英語タイトルも、ワールドワイド盤と同じ『Unleashed in the East』に統一されています。この13曲構成盤は、現在でも本作の決定版として流通しています。

収録曲（全13曲）

本作に収録されている楽曲は以下の通りです。（は日本盤EP/リマスター盤ボーナス曲）

1. エキサイター（Exciter） - 5:38
2. ランニング・ワイルド（Running Wild） - 2:53
3. 罪業人（Sinner） - 7:31
4. 切り裂きジャック（The Ripper） - 2:44
5. グリーン・マナリシ（The Green Manalishi (With The Two Pronged Crown)） - 3:16
6. ダイヤモンズ・アンド・ラスト（Diamonds & Rust） - 3:30
7. 生贄（Victim of Changes） - 7:12
8. 虐殺（Genocide） - 7:19
9. 独裁者（Tyrant） - 4:32
10. ロック・フォーエヴァー（Rock Forever） - 3:27
11. ユダへの貢物（Delivering the Goods） - 4:07
12. 殺戮の聖典（Hell Bent for Leather） - 2:40
13. スターブレイカー（Starbreaker） - 6:00

参加メンバー

ロブ・ハルフォード（Rob Halford） - リード・ボーカル
K.K.ダウニング（K.K. Downing） - リード・ギター
グレン・ティプトン（Glenn Tipton） - リード・ギター
イアン・ヒル（Ian Hill） - ベース
レス・ビンクス（Les Binks） - ドラムス

プロデュースは、バンド自身とトム・アロムが共同で行いました。本作は、ジューダス・プリーストのライブにおけるパワフルなパフォーマンスと、彼らの初期から中期にかけての楽曲の魅力を伝える歴史的に重要な作品と言えるでしょう。

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